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それぞれの夜 [厚田の野生生物]

ダーリンの札幌通いもあと2週間。
毎日往復100キロを運転しているのはかなり負担がある。特に夜の帰り道が。
海岸沿いを走る道は起伏が激しく、カーブも多い。
さらに、街灯が無い所がほとんどなので、
真っ暗な中をヘッドライトだけで走るのは通常の運転より緊張を強いられる。
そんな中、暗い道路をよぎる影!
キツネやタヌキが国道を渡る。
単純に動くものが出現する驚きと、
交通事故を避けようとする緊迫感で、肝が冷えるという。

実際私も、引越準備の厚田通いで何度かキツネやリスを見かけた。
ちょっと山に入れば道路標識にもキツネ・タヌキ・シカの飛び出し注意を見かける。
が、深夜はやはり彼らの活動時間のため、出現頻度は高いらしい。
「タヌキはもそもそ動いて可愛いんだ」
そうなんだ~。野生のタヌキはまだ見たことがないなぁ。
「あ、道路の端に茶色い服の人が立ってる、と思ったらシカだったことがある」
茶色い服の人! そうだね、シカって首を立ててこっちをガン見してるよね。

楽しく聞きながら、その時間帯の私は、
虫たちの気配にビクビクしているなぁ、と思いかえす。
陽が落ちた後は、農作業の音もしなくなり、車通りもなくなって、
このあたりはカエルの声がするばかりで人気がまったく感じられない。
湿気た雲に覆われて、星も見えない、本当の真っ暗闇。
家の中の虫たちも蠢きだすのだ。
人気のない部屋の中に、何か気配を感じる。音もしくは、視線のような、気配。
そちらを見ると、必ず居るのだ。
あいつ、もしくはワラジムシ、または最近はハサミムシ。
あんなに小さいのに、生物の気配を発するので、動いているのを目の端に捉えては、急に殺気立つ。
夜はそんな気配に神経を尖らせて、病的に敏感になっている私。


それぞれの夜は、野生生物と共にありながら、なんか態度が違う。
でも、苦手なものは苦手なのだ。
私、こんな態度でこの土地の生物たちと馴染んでいけるのかなぁ。


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小鳥の脳震盪? [厚田の野生生物]

サンルームで、大きな音がした。
最近は小さな衝突音があちこちでしていて、たいてい
アブか、バッタがガラスにバンバンぶつかる音なのだが、桁違いに大きい。

見ると、サンルームのすぐ下に、小鳥がとまっていた。
というか、止まっているというより落ちている。動かない。
倒れていないだけで、ピクリとも動かない。
うわぁ、どうしよう。
この辺はトンビとかカラスも居るから、このままじゃ餌食になっちゃう?
でも、私、小鳥といえども怖いのだ。


ここでちょっと回想。
第二のアンタッチャブルゾーン、煙突の扉の中のこと。
明日がゴミ出し日という日、ダーリンが出勤している間に片づけようと思ったんだ。
で、扉の下にシート敷いて、周りをマスキングしてビニール袋を吊るして万全にしてから
火バサミを使って中のものを取り出そうとしたんだ。
火バサミ越しに、感触がわかったの。
卵じゃない!・・・鳥の頭蓋骨だ!
そこから続く羽の感じ、あばら骨の感じが、火バサミ越しに、ありありとわかるの。
カッサカサに乾いてるけど、鳥の死骸なんだ。
怖くて怖くて、泣きながら、叫びながら取り出して、厳重に袋に収めたのだった。
その頃は、「外が真っ暗で、家には私と虫しか生命反応がなくて」と
盛大に病んでいたころだったので、この経験はすごく堪えた。


あの感触が強烈で、目の前にいる可愛い小鳥もめちゃ怖いのだ。
ダーリンを急いで呼んで、「あの小鳥、ぶつかって動かないの!」と助けを求めた。

ダーリン、すぐに外に出て行ったかと思うと、小鳥には向かわず
道路に向かって歩いて行ってしまった。
どうしたのかと???で見ていたら、ぐるっと庭から回り込んで、
後ろからそっと両手ですくい上げるように、小鳥を掌に載せた。
小鳥は「え?え?」と言う顔で、キョロキョロしていたが、
掌に載せられたまま、ウッドペッカーの木の下まで運ばれていった。


おうちに戻ってきたダーリンに、
「どうだった?どうだった?」と聞くと、
「ぶつかって脳震盪でも起こしたんじゃないかな。木のウロにそっと置いてきたよ」と。
良かった。
とりあえず、トンビやカラスにいきなり連れて行かれる状況ではなくなった。
そして、怖がらせないように、後ろからそっと、
鳥がキョトンとするくらい自然に対応したダーリンを改めて尊敬した。
いいなぁ。
怖がったりキャーキャー騒いだりせずに、
自然に、野生生物と適切な距離感でふれあえるようになりたいなぁ。
今の私じゃ何段階もレベルアップしないと無理だけど、
発足で生活していれば、どんどん野生生物が身近になって、
鍛えられると信じている。

因みに。
10分位してからウッドペッカーの木を覗いてみたけど、もういなかった。
元気に飛んで行ってくれたかな。
後日ネット開通後に調べたら、アオジという鳥みたい。
すごくキレイな鳥だった。


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近所の山親父 [厚田の野生生物]

ちょっと前の話になるが。
9/20のイチゴ収穫に行った際、往く道に「熊出没注意」の看板が立っていた。
父の転倒・脳外科への救急搬送があった後、
札幌往復を繰り返していることを慮ってイチゴ収穫の頻度を減らしてくれていたので、
「いつの間にこんな看板が立ったのかなぁ、もう熊出没時期かぁ」
なんて思いながら、3日ぶりにイチゴのハウスに顔を出した。

「話したっけ? うちのすぐ傍で熊が出たんだよ」
ええ~~~!! もしかしてあの看板は、それを受けて設置したのか!
あれ? でもあの場所って、道道に面した比較的車の通行が多い所だよね?
件の場所は広く開けた田んぼと、道道に挟まれた、ほんの小規模な藪。
藪と田んぼの間は軽トラが入れるくらいの細い農道があって、
日に1~2度は軽トラが入って来てもいる、人っ気が全くないような場所ではないのだ。
「こっちの田んぼもそろそろ稲刈りかなぁと様子を見に来たら、
藪からガサガサッて音がして、熊が出てきたんだ! びっくりしたよ~」
えっ! この小さな藪だとかなりの至近距離?
「道道を渡って川の方に逃げて行ったよ」

そうかー、こんなに身近な場所で熊が出没するんだなぁ、と改めて驚く。
移住当初は「この辺って熊も出るんですか」と聞くと、
「まぁ発足ではあまり聞かないねぇ。
どちらかというと市街地に近い方が話聞くなぁ。
キツネとかシカとか、とにかく動物は多いけどね」なんて言われてたけど。


緊迫した話なのだが、
『道道を渡って』という野生生物に似つかわしくないワードに
二足歩行で横断している絵本チックな熊の映像が浮かんでしまう私。
いかん、いかん。
ダーリンは「きのこ、出てるかなぁ」と、すぐ原野を見に行ってしまうので、
「敷地内でも熊鈴の携帯必須!」としっかり伝えておかねば。


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カメムシ登場 [厚田の野生生物]

どこから入ってくるのか。
カメムシがおうちの中を徘徊するようになった。
一番多く出現するのはサンルームだ。
彼らは温かくて明るい所が好きなのだ。
隙間と思われる所にはシール材をぎゅうぎゅう挟み込んでみたが、
どこからともなく入ってくる。
最初は、見つけては窓の外に離していたが、もうそれどころの騒ぎではなくなってきた。

カメムシぽっとん、という対応策を使う。
これは、移住前のまだネット環境があったころに調べておいたものだ。
ペットボトルを半分に切り、(飲み口側の長さを短くする)
飲み口を中に向けて逆さに刺すようにセットしてテープで固定する。
中には少し水を入れて食器用洗剤を溶かしておく。
カメムシは危機を察知すると下に向かって飛ぶので、カメムシのそばに
このカメムシぽっとんを差し向けるだけで、自ら入ってくれたりするのだ。
内部が漏斗状になっているので、自ら入らないまでも、ここに落とすだけで
下の水溜りに落ちる、という塩梅である。

簡単に捉えることができるが、次から次から登場するので、
あっという間にいっぱいになった。
2階にも頻出するので、気が付いた時にぽっとんできるよう、
結局3個作った。
いやぁ、それにしても、どうしてこんなに次から次から・・・。
虫たちは本当に細い隙間でも入ってくることができるので、
「うちは隙間がどこにでもあるからねぇ」と二人で力尽きる。

冬に向けて、初めて迎える厚田の秋。
越冬を控えた虫たちとの攻防は始まったばかりなのかもしれない。


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おうちに棲息する生物 [厚田の野生生物]

よく顔を出してくれる山のプロさん。
元営林署員なので、裏の山について聞いてみる。
先月の森林ボランティアイベントで小耳にはさんだのが、
「適正に間伐してやらないと、密集した木々が擦れ合って
山火事になったりする」と言う話が気になっていた。
「まだまだチェーンソーまでは手が出ないんですが、間伐とかはどうすればいいのかしら」
「ああ、それなら草が茂っている時期も、冬もできないから、春先だね」
その時には教えていただきながら、多少の間伐をお願いしたいなぁ、なんて話す。

おうちの裏手にまわって裏の原野を観察していたが、
「ところで、床下換気口、金網で塞いだ方がいいよ。雪が降ったら換気口は閉じるけど、
その前にネズミが入り込まないように塞いでおかないと。ほれ」
指差した先を見ると、換気口の端に丸い穴が。
明らかに何者かが少しずつ穴を大きく広げたかのような、直径3cm位の穴。
・・・気がつかなかった。もうネズミは入り込んでいるかもしれない。

それからしばらくして、就寝中にガサガサと壁の中から音がするようになった。

私は小さい頃、築50年以上の古~い家に住んでいた。
祖父母が食料品中心のよろず屋を、その閉店後は父母が食堂を営んでいたが、
そこはエサが豊富だったこともあり、ネズミも一緒に棲んでいた。
天井裏とか床下とか、夜はネズミの大運動会だった。
あそこまで古いおうちではないのだが、まぁ、裏は山だし、
周囲からいくらでも動物が入り込んでくる環境ではある。
ただ、音はこんな音ではなかった。
天井裏を走り回るパタパタパタッ、トトトトトトトッという足音しか記憶にない。
本当にネズミなのだろうか・・・。

屋根補修の際に「アオダイショウの抜け殻があった」という話もあるし、
ヘビが屋根裏に棲んでいるってことも考えられるか?

所用で立ち寄ってくれた顔役さんに話したところ、
「まぁ、あまり気持ちのいいものではないかもしれないが、
ヘビは家に棲みついても害がないから」と言う。
卵を買いに行った際に飛ぶ鳥農場さんにも聞いてみた。
移住してご自身で空家をDIYした経験があるからだ。
「ヘビは天井を移動するとサァーって音がします」
サァー・・・は聞いたことがないなぁ。
「ネズミは集団でドタドタドタッって走り回ります」
う~ん・・・おうちのはガサガサなんで、走り回ってはいなさそうだけど・・・
音以外の手がかりがないため、結局特定はできなかった。


ダーリン曰く、
「ヘビが居るとネズミは居ない、ネズミが居るとカマドウマは居ない」そうだ。
そういえば! 最近「あいつ」に会ってないなぁ。
ということは・・・ネズミなのかな?



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小鳥サイズ、と呼んでいるもの [厚田の野生生物]

日付は前後するが、
カメムシ登場の前は、大型の蛾が大量発生していた。
最初はサンルームでアオガエルを腹から観察していると、
たくさんの小さな羽虫に混じって大型の蛾が飛んでくるようになった。
サンルームの天井にとまってから、バタバタと羽を動かすと、
その羽で叩く音が大きくて、「鳥か!?」とビックリするほどだ。
灯火に寄ってくるので、寝室:ぼくの部屋に灯りが点くと、
ガラス窓をバタバタバタ、と叩く。
すりガラス越しに映る、そのシルエットの大きさ!
15~16cmもあるだろうか。
名前がわからなかったので、「小鳥サイズ」と呼んでいた。

図書館で借りた虫図鑑には似ているけれど該当する種がなかった。
後日ネット開通後に調べてみると、
クスサンという蛾だった。楠蚕、と書くらしい。
繭の写真を見ると、「あ、知ってる。草刈りの時に見た、見た」と思い、
幼虫の写真を見ると、「すごくたくさんおうちの壁に貼りついていた!」と
思い当たることばかりだ。
そういえば、ボイラー業者さんが叫び声をあげていた毛虫、
今思えば、クスサンの幼虫だったな。


夜のサンルームで二人して一服しながら、遠くの街灯をみると、
大量のクスサンが灯りを求めて八の字にわんわんと飛び狂っている。
方向転換すると街灯の灯りが反射してキラリン!と光る。
その光の大きさだけで、「ああ~、でっかいねぇ」と二人でいちいち慄くのだった。

少し季節が進んで、クスサンの数が徐々に少なくなった頃、
イチゴ収穫のハウスに迷い込むようになってきた。
そ~っとイチゴの葉に隠れて卵を産み付けようとしているのだ。
ハウスの中ではちょっと赤みを帯びて見えるので、イチゴかと思って手を伸ばしては、
ブルブルっと震える体に触れて、そこでもまた慄く。
本当に寒くなる直前まで、なんやかやとクスサンは私の生活の中にいた、
身近ないのちだったなぁ。
春になったら、またひゃーひゃー慄きながら、
あの10cmもあろうかという大きくて美しい幼虫に出会えるのかな。


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夜の峠で・・・ [厚田の野生生物]

カメムシの侵入に頭を悩ませている今日この頃。
主だった侵入経路である窓と扉を、防寒も兼ねてプラ段で封入したいと思い立った。
当別のホームセンターで梱包用の薄くて安いプラ段があったことを思い出し、
もう陽も傾こうかと言う昼下がりに、当別に向けて車を走らせた。

秋の峠は特に動物との遭遇が多い気がする。
当別側に下りる前に、2キツネ、2シカに遭遇。
下りて左折すると道民の森、右折するとふくろう湖に続く道に出て、右折する。
すでに夕焼けの色が映えて、風景がほんのり赤く染まり、薄暗くなる頃に、
ツアーサイクリングと思われる、単独走行のおじいちゃんとすれ違う。
「今から道民の森でキャンプ? 朝夕冷え込むから大丈夫かね?」などとやり過ごし、、
当別でプラ段などの資材と、食品スーパーで買物をすると、もうすっかり暗くなってしまった。
夜になると見通しも悪くなるし、動物の出現頻度も高くなる。
道路脇から何か飛び出して来ないか、道路に光る眼がないか、
ドキドキしながら峠を走って、頂上部に向かっていた。


わっ! 何か居る!!・・・というか、誰か居る!
暗い峠道を、自転車を押して上る、さっきのおじいちゃん!
「大丈夫ですか! まだまだ頂上までありますよ! こんな暗い中で!」

「いや、大丈夫ですよ。今日は厚田の浜でキャンプして
明朝は厚田漁港の朝市で買物して帰るんです」
「危ないですよ! 真っ暗な山の中で無灯火だと走行車もビックリしますよ」
おせっかいとは思ったが、熊出没したばかりのこの時期に、無謀すぎる。
自転車ごとおじいちゃんをピックアップして厚田市街まで送り届けることにした。

とはいえ、プラ段はうちのステーションワゴン君にはいっぱいいっぱいの積荷で、
後部座席を倒して積んでも運転席の背中にツンツン当たるくらいのサイズだ。
おじいちゃんが座れるよう片側のシートだけ起こし、
自転車をギリギリで載せ、プラ段はおじいちゃんの頭の上に乗っかっちゃうので、
おじいちゃんに天井へ押さえつけて貰いながらなんとか乗ってもらった。

「どちらからいらしたんですか」
「いやぁ、札幌からです。峠越えしてキャンプしてるんですよ、色んなところを」
「それにしても危ないです。熊も出たばかりですし、
ここ最近は夜もすごく冷え込みますから」
「いやぁ・・・」
なんか不満そうです。いらんおせっかいだったかもしれんです。
でも、行方不明とか立ち往生とかされると、地元が大変なんですから。
ここから峠道はまだ続く。特に頂上を過ぎてからは急勾配の長い下り坂もあるし、
無灯火の自転車で下るなんて、考えただけでもゾッとする。

「一旦明るい所で落ち着くといいかもしれませんね。トイレもあるし、
道の駅まで送ります。そこからだと、漁港も一望できるので」
「はぁ、すみませんね」
厚田までの道すがら、
道路に飛び出すキツネ、何か獲物を咥えたアライグマに遭遇。


おじいちゃんを道の駅あいろーど厚田で降ろし、厚田漁港への道を案内して別れる。
私が道の駅のトイレを借りているうちに、
落ち着くことなくおじいちゃんは厚田川の川原へ向かって走って行ったという。
この気温でもあの軽装でキャンプするつもりなんだなぁ。


「実はすれ違った時、嫌な予感はしたんだ」とダーリンが言う。
「まさかとは思ったけど、暗闇におじいちゃんの後ろ姿がヘッドライトに照らされた時、
やっぱり、と思ったよ」
「陽が暮れてから峠越えするとはねぇ」
道に飛び出してきた野生動物を轢きそうだったことといい、
夜の峠って、ドキドキするものに遭遇するもんだなぁ。
それにしても、何事もなくて本当によかった・・・。


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鳥たちの変遷 [厚田の野生生物]

まだ厚田に引っ越す前、ひとりで下見に来て周囲を撮影したことがあった。
おうちのすぐ脇、山裾の延長線上の森と、
玄関脇のぼうぼうの庭は鳥たちの縄張りだった。
私がおうちに近づくと、すぐ傍の木からカラスが警戒心剥き出しの大声で鳴きだす。
「おーい皆! 俺たちの縄張りに、見知らぬ奴が侵入してるぞ!」って感じで。
少し離れた所にいるカラスが次に返事をし、さらに遠くのカラスも返してくる。
おうちのすぐ脇のカラスがそれにまた応えて、
あちこちでカラスがガァガァと大合唱する。
「何もしないよ! 見に来ただけ!」と私も負けじと声をかけるも、
ガァガァは止まらない。
そりゃそうだろう。空家で人間の脅威がないところに現れたんだもの、
みんなして、「よそ者、よそ者!」「侵入者!警戒!警戒!」となっていたんだろう。

山裾の森からはフクロウの声もしていた。
引っ越して間もなくは、「すごく近い所で鳴いてるねぇ」と驚いたものだ。


引っ越して、なんやかやと人間の営みが始まっていくと、
自然と距離が遠くなっていった。
カラスは居るけど遠巻きにしているし、
いつの間にかフクロウの声が聞こえなくなったので、もっと奥に移動したのかもしれない。

札幌では身近だったスズメも、ここではあまり見かけない。
電線に留まっているのは見かけるが、おうちの周りではむしろ、
スズメ科の別な鳥(あまりじっくり見ることはできないが、あきらかに色が違う鳥)が
森と庭木を行き来しているのを見ることが多い。
サンルームにぶつかって脳震盪を起こした、あのアオジもよく飛んでいた。
電線に留まっている鳥も、並んでいるようでちょっとサイズが違って、
尾羽が長いもの、体長が少し大きくて頭が小さいもの、カラス、トンビなど
バラエティ豊か。
しかも、その時によって、皆で田んぼ側を見ている時と、道路側を向いている時がある。
あ、そうだ。夏はデーデーポッポーの声がよく響いていた。キジバトだったのかな。

そして、カラス以外はみんないつの間にかいなくなっていく。
もっと暖かい場所に移動していくのか、冬籠りするのか。
老眼・乱視のおばちゃんの眼では 近くに来てくれないとなかなか観察できないが、
次のシーズンは鳥の変化も日記につけてみようかな。

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雪虫、舞う [厚田の野生生物]

この地域の稲刈りがほぼ終わった頃を見計らったように、
雪虫が舞いだした。
発足の雪虫は、白い綿毛に透けるように、小さくボチッと真っ青な部分がある。
これが、キレイなんだよなぁ。
ただの白いフワフワ雪虫よりも崇高な感じがして、
なんか、陳腐な表現だけど、妖精みたい。

朝晩もずいぶん冷え込むようになってきた。
お隣の若夫婦の、若奥ちゃま(めんこくて、奥様というより奥ちゃまと呼びたい)が
「稲刈り、うるさかったでしょ~。挨拶もしないで始めちゃって」と
顔を出してくれた。
「いやいや、初めての稲刈り見学が面白くって。旦那さんも手を振ってくれたりして。
ところで、雪虫ずいぶん増えたよね~。もうそろそろ降るのかな?」
「いやいや、まだでしょ~」などと話す。


気が付けば、あんなに夏中大騒ぎしていたカエルの声も、
田んぼの水を抜いたころからすっかり聞こえなくなり、
サンルームのガラスに貼りつくカエルも、来なくなってしまった。
あんなにバチバチ窓に突撃してきたアブもすっかりいなくなった。
ウッドペッカーの木の、ツンツン頭の先っちょにいちいち留まっていたトンボもどこへ行ったのか。
毎日飽くほど観察していた厚田の生き物たちが変化していることに、
札幌往復に忙殺されて気付いていなかったんだなぁ、と改めて思う。
厚田での初めての冬は、もうそこまで来ている。


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こげ茶色の服の・・・ [厚田の野生生物]

厚田川に沿って延びている道道月形厚田線は、峠に入るまでは
片側が山、片側は厚田川に面して比較的開けた風景になっている。
野生動物達は川に向かって渡って行ったりするので、
さながら道道は横断歩道のようなもの。
峠ではしょっちゅうキツネが路肩にちょこん、と居たりするが、
この季節は特にシカに注意なのだ。
シカに衝突して発足に通っていた人の車が廃車になったという話は
すでに7月に聞いていたが、この時期の雄シカは時に攻撃的らしい。
夜はシカの鳴き声が響き渡る。
森でよく耳にするピャッ、みたいな高い短い声ではなく、
繁殖期のオスの、長い叫び声だ。
私には「どぶろっく」の♪女、女、女~~と唄っている声が重なる。
ああ、今一生懸命な時期なんだなぁ・・・と。


発足から厚田市街に行くだけで、カーブの向こうにシカが渡っていたりする。
ダーリンが札幌通いをしていた頃、「茶色い服の人が立ってる、と思ったらシカだった」
という話があったが、
今の季節は「こげ茶色の服の、角をつけている人」が悠々と横断していたりするのだ。
先日、顔役さんの奥様が、
「畑を立派な角の雄シカを先頭に、6頭で行進してたわよ。
家の中から息を殺してそ~っと覗いてたさ~」って話されてたっけ。

そんな折に! とうとうおうちの前を、走っている姿を目撃した。
2頭の雌シカを追って、目の前の田んぼの中を横切っていく、
「こげ茶色の服の、角をつけている人」!
悠々と道道を渡っていた個体とは違い、必死で追いかけまわしている感じ。
角がそんなに立派じゃなかったように見えたから、若い雄シカなんだろうなぁ。
ダーリンとふたり、アテレコが始まる。
「いや~! なんかついて来る、あの男~!」
「ま、待ってくれよぉ、俺、悪い奴じゃないよぉ」
「やめて~! 来ないで~!」
「二手に分かれて、まいてやりましょ!」などと、勝手なストーリー展開。
あっと言う間におうちの視界からいなくなってしまったが、
走る姿がなんとも美しく、お尻の白い毛が可愛かったなぁ。

やっぱり、電気柵がなくなった途端、出現率が高くなった。
下見に来た晩春ころも、普通におうちの前のアスファルト道に
シカのふんがコロコロ落ちていたっけなぁ。
改めて、野生生物たちとの距離の近さを感じた。


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