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ことの始まり [移住に至る道・序章]

2022年8月。
私たちが住んでいる古いビルの所有者から、立ち退きの要請があった。
札幌市中心部、創成川イーストと呼ばれる地域。
古い歴史のある街ながら、ちょっと都心の雰囲気とは違う趣があった。
でもマンション開発も盛んになり、古い建物はどんどん消えて行ったこの地域。
いずれはこの古いビルも取り壊しになるだろうことは予想していたが、
所有者が変わったことで地域の再開発の波に乗って、とうとう取り壊しが決まったのだ。

ここ数年、市民農園での野菜づくりや、きのこ狩り、山菜採りに熱中していた私たちは
この機に家の敷地内に畑を作れるような物件を探すことにした。
特にあてはないが、山菜やきのこを求めてうろついた地域に移住するのも視野に入れて、引っ越し先を探す日々が始まったのだった。


とはいえ、ダーリンは飲食業でサラリーマンと変わらない出勤時間・深夜0時をまわってからの帰宅という忙しさ。休みも週イチな上、その休みも仕込みに出かけたりする激務。
関節炎でここ2年働いていない私の肩に今後の転居先を探る任が
ずっしりとのしかかってきた。
はてさて、呑気なポンスケにこの任は務まるのだろうか。

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移住を考えよう! [移住に至る道・序章]

転居先の最重要事項として、
私は「どうしても住居のそばで家庭菜園がしたい!」というのがあった。
都会である札幌市内では資金がないとハナから無理な希望だ。
車があれば市民農園でもいいっちゃいいんだけど、車もその購入資金もない現状のなか、
自転車で往復2時間を費やす菜園生活はだんだん無理がでてきた。
衰え行く体力。反比例する菜園熱。
この最重要事項は譲れない、という気持ちだ。
ダーリンは料理人なので、札幌市内で終電後も徒歩で帰宅できるというのが
今までの最重要事項だったが、今後はどうなのだろう。

実のところ、私が家庭菜園に夢中になっていることを
今までも容認してくれてはいたものの、
市販の野菜に比べ見目も劣り、サイズが小さい自家製野菜を料理に使うことは
あまり気がすすまない様子のダーリンだった。
が、コロナ時期に畑作業を手伝ってくれてから、ちょっと認識が変わったようだ。
「うちの子(私たちは自家製のものをそう呼んでいる)は味が濃くて美味しい。
市販のトマトはうちの子の味を思い出すと買う気にならない。」と言うようになった。
「小さくても、虫に食われてボロボロになっていても、
うちの子が愛おしいからちゃんと食べてあげたい。」という私の言葉に、
こっくりと頷くまでになったのだ。
もともと産地や生産者とつながりたい、という意識もあったダーリン。
引っ越し先について話すうちに、『移住』という言葉が出てきた。

候補地はどこが?と相談すると、積丹/余市/石狩/当別などが候補に上がった。
きのこや山菜を求めてうろついている、大好きな山や森がある地域だ。

妄想たくましい私は、今までも移住について随分と妄想した。
「大好きなあの場所の近くに住めたら」と、
不動産情報サイトを見ては、Google Mapでその地域を疑似散歩し、
間取り図から具体的な生活をどれだけ妄想したことか。
当別あたりには離農した元農家の住居と思われる広大な敷地の古家が散見され、
ずいぶんと妄想を楽しんだものだった。

ダーリンの意志も確認でき、私の妄想ロケットエンジンも点火した。
探すぞぉ、理想の移住先を!

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移住先はいずこへ [移住に至る道・序章]

移住候補にあがった地域は、当別以外は海に面している。
ダーリンは釣り好きだし、海のある街で育っているため、「海が見えるとゴキゲン」と言う。
私はというと、盆地育ちでカナヅチというのもあって、
海(というより風呂より深い水)が怖い。何より山が見えるとゴキゲン。
高校の頃、親戚の漁師宅に泊まりに行ったが、
殊の外大きく聞こえる波の音とトドの鳴き声が怖くて眠れなかった経験をしたこともあり、
海の傍には住みたくない。
海が見える山合いがベスト、かねぇ。

それにしてもだ。
2~3年前には結構該当する物件があったはずだが、
どうしたことかちっとも希望物件がない。
コロナを契機に潮目が変わったのだろうか。

コロナ直前、私たちは飲食店を自営しようとしていた。
とても魅力的な物件に出会い、資金がないなりに希望に胸膨らませていた。
けれど、いざ手付を打とうとして退職を申し出た段階でコロナ騒動が始まって。
あれよあれよという間に私のコールセンターの仕事は戦争状態になった。
資金調達の道も絶たれ、希望がないまま私たちは疲弊していった。

それとひきかえに、今の価値観にシフトしていったとも言えるのだけれど。


立ち退き・移住という流れはもうコロナ前から始まっていたのかもしれない。
まずは、物件だ。希望を叶える物件あってこそ、なのだ。
ああ、物件。どうして無いのよぉ・・・。

タグ:移住 物件
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飛ぶ鳥農場の移転 [移住に至る道・序章]

ほぼ2週間に一度、厚田区望来の飛ぶ鳥農場に平飼い卵を買いに行く。
きのこや山菜の季節には、厚田や当別での探索も兼ねてシェアカーを走らせる。

違う卵を食べると、「卵って生臭いにおいがあるんだ・・・」と気が付く。
自然な飼料でのびのび育った鶏達が生んだ卵は、
きれいなレモンイエローの黄身で、口に含むと滋味たっぷりの穏やかな味がする。
もう平飼い卵以外には戻れなくなって、望来まで買いに通うようになったのだった。


農場自体もとても魅力的で、
ちゃんと吠えて番犬になっている犬、ヤギやヒツジが草を食む姿、
お客さんが来ると出迎えてくれる猫たち。
何より、裸足で駆け回る子どもたち、活き活きした笑顔のご夫婦がもう、
キラキラと、光そのもののようで。
訪問初日で、その魅力にすっかりヤられてしまった。


その飛ぶ鳥農場が引っ越すという。
現在の望来より更に北、厚田の山あい地区に行くという。
実は私たちも今の住まいから立ち退かなければならないんだ、なんて話をして帰る。

だいぶん遠くなるなぁ。
この冬に引っ越したいとのことだけど、望来ではいつまで卵が買えるのだろう。
ここに来るだけで、なんだか浄化されたようにゴキゲンになる私としては、
飛ぶ鳥農場に来る回数が減るのかも、と思うとなんだか淋しくなってしまった。

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古民家を求めて小樽へ [移住に至る道・序章]

敷地が広くて庭で家庭菜園ができそうな所を検索すると、
築40年以上の古い一軒家に限られてくる。
そして、その半分以上が小樽の物件だ。
小樽は街の歴史として、北海道の商業都市として大発展し、それが急速に衰退したため、
発展時の建造物がスクラップ&ビルドされる間もなく取り残されたという経緯がある。
なので、ちょっと他の地域にないほど古い建物・由緒ありそうな建物が
ひょいと残っていたりする面白い街だ。
傾斜のきつい土地に、くまなく張り付くように住居が建っている地域が多く、
隣りの家との標高差があって玄関を開けると隣家の屋根だったり、
海から遠いのに、屋根越しに海が見えたりするのも面白い。

いくつか私の妄想をくすぐる物件があった。
もう、古民家、といえるほどの古さで、改装をすれば自宅兼店舗になりそうな構造。
「寒そうだなぁ」
「湿気がきつそうだなぁ」
「ネズミなんかも住んでそうだなぁ」などと
デメリットも考慮しつつ、どう改装しようか考えるのはとても楽しい。


その中、2件問い合わせてみた。どちらも古民家カフェができそうな雰囲気ある物件だ。
折しも、この年の小樽は大雪の当たり年で、
除雪が間に合わず生活に支障が出ているとのニュースも頻繁に聞こえていた。
問い合わせた物件のうち1件は、「大雪で辿り着けない、春まで内見は無理」との回答。
もう1件は、なんとか玄関前は除雪したので内見できそう、とのことだった。


ダーリンが動けない中、ひとりで内見に向かう。
不動産屋さんの担当者はとても親身で、
「もし借りることが決まっても5月くらいまでは転居できない」というこちらの事情も鑑みて
オーナーさんと交渉してくれる、とのこと。
物件はとても可愛いかった。オーナーさんが大事に手を入れている物件だとわかる。
だが、キッチンスペースがあまりに狭い。カフェは難しそうだ・・・。
しかも、家庭菜園スペースがあるとのことだが、あまりの雪で、
敷地がどのあたりまでなのか、隣との境界もまったく想像つかない。
玄関と反対側は道路ごと雪に閉ざされていて、
結局、敷地の間口も奥行も皆目見当がつかない状態だった。
1階を店舗、2階を居住スペースにしようと妄想していたが、
いかんせん古い家、階段が急すぎてこれは無理か、と思った。
半畳で2階まで上がる梯子状態で(足をかける踏板部分は10cmほどしかない)、
迂闊な私には転げ落ちてケガをする未来しか見えない。
何より、小樽は道路が狭く、坂道だらけだ。
降雪量も多い小樽での冬は、この道の狭さはかなりネックになりそうな気がする。


帰宅後のダーリンに報告したが、やはり断念することになった。
う~ん・・・賃貸では難しいのかなぁ・・・
戸建を購入する、なんて選択肢は考えにくいんだが・・・
ああ、希望に合う物件がない・・・

タグ:移住 小樽 物件
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厚田地域の物件情報 [移住に至る道・序章]

卵の在庫確認でSNSでは飛ぶ鳥農場さんと繋がっていた。
その飛ぶ鳥さんから、望来・厚田地区の物件情報が流れてきた。
厚田の市街地や、望来の別荘地など、売物件ばかりではあるが、
今まで見ていた不動産サイトにはなかった情報ばかりだ。
そして、飛ぶ鳥さんが移転地を探す際に候補にしていた、という
お知り合いの物件の画像も貼り付けてくれていた。
ただ、その物件を検討されているご友人も居て、その方の意向もあるので
今現在は参考情報のようだ。

物件購入なんて私たちには遠い話だなぁ。
とはいえ、初見の物件ばかりなので、
早速GoogleMapで近隣探索と妄想は怠らない。

いいなぁ、厚田も。
ちょっと札幌から遠いけど、海・山・川がすべて手の届くところにあるんだなぁ。
それに、飛ぶ鳥さんが近所にあったら、すごく嬉しいよね。

どんなところか、今度卵を買いに行く時にのぞいて見ようかねぇ。

タグ:移住 物件 厚田
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厚田の冬を思い知る [移住に至る道・序章]

北海道の日本海側は、夏は険しい景色と深い海の色のコントラストが素晴らしい。
追分ソーランラインという国道は、風光明媚なポイントだらけで、
ドライブするだけで楽しい。
まぁ、とはいえ、険しい景色は厳しい気候の反映でもあり、
海岸線は崩落も少なくなく、今はトンネルだらけになってしまったけれど。
私たちが山菜やきのこを求めて遠出する時は、この追分ソーランラインの利用頻度が高い。


ただ、冬は怖いのだ。
冬はとにかく、日本海から次から次へと雪雲がやってくるので降雪量が多い。
しかもそれだけでなく、強い海風で吹雪く。
なんだったら降って無くったって、海風で積もった雪が煽られて、
道路も何もわからなくなるほどの地吹雪にすらなる。それも、頻繁に。

でもちょっと内陸側に入ると雪の様相は変わり、山沿いは静かにしんしんと大雪が降る。
以前、わさわさと雪が降る内陸側を走っている時、近くにどうしてもトイレがなくて、
ダーリンが外で用を足したことがある。
車内で待ちながら、真っ白になって「寒い~」とか「すごい雪だ~」と戻ってくると思っていたら、
意外にも、「静かだ・・・」と言って戻ってきた。
この気象状況の中で一番印象に残ったのが「静けさ」だったという感性に、
なんだかすごく感動したものだ。


今日は飛ぶ鳥農場の卵を買いに、厚田の望来まで行く。
札幌は晴れていて道路状況も悪くないので、
内陸側を通って『静かだポイント』の今の状況も見ていこうか。
里山に春の気配は近づいているかなぁ。
飛ぶ鳥さんに在庫確認の電話を入れたら、
「在庫はあるけど、こっちは荒れてるので気をつけて」とのこと。
そ、そうなの? 札幌は全然大丈夫だけど、そんなに天候が違うのかな?


石狩川を渡るあたりから空模様が不穏になり、わさわさ雪が降ってきた。
農地の真ん中を通る道の途中で、ワゴン車が雪に突っ込んで立ち往生していた。
ダーリンがちょっとお手伝いをして無事救出。
仕方ないよね、どこまでが道で、どこからが路肩なのか全くわからない天気だもの。
じわじわと天候が悪くなり、ただの雪から吹雪になってきた。
石狩市のカントリーサインを越えると、露骨に道路状態も変わってきた。
車道と路肩がなだらかに繋がって、エッジが無くなっている。
除雪直後の雪道の断面は、
例えるなら「コの字を起こしたよう」にキリッとエッジが立ってるけど、
今はU字、いやV字になろうとしている。
いつ通ったのか、前に走行した車の轍も、ふんわり柔らかなモールのようだ。
わさわさ降る雪で視界がどんどん悪くなっていく。
おいおい、さっきのワゴン車みたいに路肩に突っ込むのも他人事じゃないぞ。
『静かだポイント』を観察するどころか、どこがそのポイントかすらわからない。


ふわぁっと風が吹いた。
私たちは「うわぁぁぁ!」と悲鳴を上げる。
一瞬で電柱だけが道路幅の目印になり、
それ以外は空も山も、すべてがホワイトアウトした。

ごうごうという風の音もないのに。
まるで静かに真綿に包まれるように。
白く霞んだ電柱が無ければ上も下もわからない距離感のない世界の中で
私たちは車を走らせている。
雲の中を飛んでいるような、夢の中みたいに現実感のない気分だが、
ひしひしと死の恐怖を感じている・・・不思議な体験だった。
電柱だけを頼りに、対向車が来ませんようにと祈りながら小さな峠道から望来に抜けると、
普通の吹雪に戻った。
(普通の吹雪、って・・・吹雪の中を走っているだけでも充分危険なのだが)
「・・・死ぬかと思った」と呟き、ホッとする私たち。


無事、飛ぶ鳥農場で卵を買い、帰路は追分ソーランラインを使って帰った。
特にひどく吹雪くこともなく、あれは何だったんだろう、と思いながら。

厚田の冬の厳しさを思い知らされる一日だった。

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厚田のおうちが移住候補になるかも? [移住に至る道・序章]

前回の卵購入時に、住宅の情報をいただいたことに感謝し、
でも購入は身の丈に合わないので借家を探している旨お伝えした。
物件購入を考えているご友人との話は立ち消えになったようで、
家主さんに賃貸でどうかを聞いてみる、とのこと。
昨冬の豪雪時に空家になっていたため、雪の重みで屋根が一部壊れているそうだが、
「住んでくれる人がいるなら、住んでほしいんだ」と、その家の娘さんが話されていたそうな。
飛ぶ鳥さん、自分たちの移転で大変なのに、
私たちのためにも動いてくれて、本当にありがたい。

「賃貸で住めるなら、厚田もいいねぇ」なんて、
私たちもだんだんその気になってきた。

そんな中、毎年借りている市民農園から、今年の申込案内が届いた。
札幌市内で市民農園に簡単に通えるような所に引っ越すという手もあるが・・・。
そうなると、ダーリンが通うのは大変だし、車が無ければ難しいしなぁ・・・。
市民農園の申込、どうしようか?

まぁ、どう転んでも何らかの作物は育てたい。苗づくりだけは進めておこう。
さしあたっては、買ったものの使う前に芽が出ちゃったサツマイモとサトイモを
苗にしちゃおうっと。

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厚田の冬を思い知る Part2 [移住に至る道・序章]

それから2週間。
卵を買いに行くついでに、どんなおうちなのか見に行ってみようということになった。
前回、吹雪の死の恐怖を味わったが、住むとなるとそれが日常になるかもしれない。
冬に何度も厚田に通うのはけっこう大事だよね。

札幌はおだやかだったが、やはり、石狩方面は吹雪いていた。
前回のこともあり、山ではなく、海側の国道を使って行く。
「石狩が吹雪いているのはデフォルトだね」などと話してはいたが、
どんどん雲行きが怪しくなっていく。
視界が20~30mの状況になり、
走行中にハザードランプを点灯しなければいけないくらいになってきた。
海風が吹き抜けると地吹雪にもなり、ホワイトアウトする。
何度も前が見えなくなって「わぁー!!」と叫ぶ。
すれ違う車も少なく、たまにすれ違うのは道路パトロール車だけになって、
「いよいよ危ない」と私たちも掌に汗握る状況。


なんとか飛ぶ鳥農場に辿り着くも、農場の入口は
(雪かきした跡はあるものの)吹き溜まって膝上の深さの雪になっていた。
雪だらけで卵を購入し、「例のおうちは賃貸は考えていないんですって」との回答を聞く。

地吹雪と、賃貸NGの回答にパワーを奪われた私達は、そのまま帰路についた。
例によって帰り道の札幌はおだやかで。
正確に言うと、川を渡るたびに天気は少し変わったりするので、
石狩の中でも吹雪いていたり、まったく降ってすらいなかったりと様々ではあるのだが、
基本、石狩川を渡ると札幌とは天気が全く違うことが多いのだ。


結局厚田のおうちを見に行くことはできなかった。
賃貸では移住できないこともわかり、
厚田の冬の厳しさを再度思い知らされた。

「それでも移住する覚悟はあるのか?」と
天から問われているような気持になってしまった。

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厚田の冬を思い知る Part3 [移住に至る道・序章]

さらに2週間後。
卵を買った帰りに石狩の「番屋の湯」という温泉に行く。
すでに吹雪いていたが、まぁ、石狩の冬はいつもこれくらいは吹雪くよね、と言う位の
状況だったので、せっかくここまで来たなら温泉に入って行こうとなったのだ。

さて、温まって帰ろうとしたら、外はとんでもなく吹雪いていた。
波のように何度も突風が吹きつけ、雪がバチバチ当たって、砂粒かと思うほど痛い。
駐車場の車たちは皆、吹き付けた雪で真っ白。
突風の度に息が詰まり、車に辿り着くだけでも大変なほどの状態だった。

番屋の湯は長大な石狩川の河口にある。
河口は海に直角に流れ込むのではなく、いったん海岸線と並行してから流れ込むため、
砂州となったこの地区は海・河口・石狩川最下流と三方を水に囲まれている。
常に海風が強く吹き荒れる地区なのだ。
いつもは石狩川沿いの通行量の少ない道を帰るのだが、
安全を考えて今日は国道から帰ろう。

ところが。
国道に出るまでの道がすでに凄い状態。猛吹雪+地吹雪。
ハザードランプを点けつつ走った前回の状態すら超える視界の悪さ。
国道に合流する信号まで1km位の距離なのに、どこを走っているかわからない。
前を走る車のハザードランプだけが頼り。
すると、前の車が停まった。
国道合流地点の信号に差しかかったのか、とも思ったが一向に動かない。
10分位停まっていただろうか。
数年前に地吹雪で動けなくなり車の中で凍死した人が続出したニュースが頭をよぎる。
ダーリン、吹雪をものともせず、「前の様子を見てくる」と外へ出て行った。

数分して、戻りかけたダーリンに前の車の人が話しかけている。
そして、戻ったダーリンによると、
数台前の車が道を見失って吹き溜まりに突っ込んで道を塞ぎ、先詰まりしているとのこと。
状況を把握した前の車は、道幅が不明な状況でなんとかUターンし、もと来た道を帰ってゆく。
私たちも番屋の湯の近くまで戻って、別の道から国道に合流した。


合流したとて状況は変わらなかった。
道路幅が広い分、むしろ地吹雪がひどく、
信号すら真下近くまで来てやっと「信号だ!赤だ!」と気付くほどの視界。
のろのろと低速で走っているのに、ここまで視界が悪いと後続車に追突されかねない。
てか、後続車が居るのかどうかもわからない。
吹雪の中、ここを走っているのは私達の車だけなんじゃないか、と錯覚する孤立感。
「駄目だ、どこかに避難しよう」と近くにあるサーモンファクトリーを目指す。
が、駐車場の入口もわからず、通り過ぎた建物の霞んだシルエットを見て
「ああっ、今の建物だった!」と避難かなわず。
ただただゆっくり前に進むしかない恐怖。
山の中の「真綿にくるまれて夢みるように迎えたかも」、という死の恐怖。
視界が悪く道路パトロール車しか往来しない状況で「遭難するかも」、という死の恐怖。
そして3度目の死の恐怖は、何も見えないままの国道で
「対向車や前後の車と突然ぶつかるかも」、というまた別の恐怖。
私たちが移住を夢見る土地はこんなにも厳しい土地なのだ。
やはり、「それでも移住する覚悟はあるか?」と問われている気がした。


そこに、突然除雪車が現れた。
除雪作業中ではなく、どこかに移動するために普通に走行している。
除雪車のライトは乗用車とは違ってとても明るく、急に道路の様子が見えた!
ああ! 地獄に降りてきた蜘蛛の糸! 路肩がわかる~!
二人で「ありがとう、除雪車!」「すげー!除雪車!」と叫びながら必死で付いていく。
なんか、除雪車がいてくれるだけで、すごい安心感と高揚感が!

なのに、少し距離が開いたところで信号にひっかかり、黄信号で突っ切った除雪車は
無情にも私たちを置いて走り去ってしまった!
車内には「置いて行かないでー!!!」という私たちの叫びが響く。
く、蜘蛛の糸が~~~!
私は気が付いたら涙が出ていた。
除雪車が去った国道は、元通りの先が見えず暗い孤立感に包まれる。
その後の私たちは必死で路肩を探り、札幌への分岐点を探して極度の緊張の中進んでいった。
無事、札幌への分岐点をクリアし、進んでいくと・・・
徐々に視界が開けていき、普通の雪がちらちら降っているだけで、
札幌への道は何事も無かったかのように舗装面が出ていた。
今までの天気は何だったんだ・・・。

厚田へ行くだけで、連続3回も味わった死の恐怖。
充分体験できました。覚悟しましたよ、天気の神様。


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