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雪洗い [厚田民としての生活]

ダーリンがニシンの網外しのお手伝いに、早朝から出かけていく。
早い時は昼ごろ、大漁の時は夕方遅くなってから、コタコタになって帰ってくる。
長靴にはニシンの大きなウロコを大量に付けて、
ジャンパーにはウロコやカズノコ・潮の固まりのようなものをいっぱい付けて、
海の香りをさせながら帰宅するのだ。

このまま洗濯機にかけるわけにはいかないので、
ふんだんにある雪を使って、外で下洗いをすることを思いついた。
雪の上で ややこすり付けるようにガシガシと滑らせると、
ジャンパーに付いた固形物は大体こそげ落とすことができる。
長靴に貼りついたウロコは、ちょっと握って固くした雪でゴシゴシすると、
氷の粒がクレンザーの役割を果たして、あらかたのウロコが落ちてくれる。
秘儀、雪洗いの術~。
あとは、おうちの中で特に汚れた部分を下洗いしてから洗濯機におまかせするのだ。


私は魚が得意ではないので、もっぱら魚調理はダーリンの担当だ。
肥料袋いっぱいのお土産を、疲れたカラダにムチ打って、大量に捌いてくれる。
冷蔵庫に入りきらない量の白子・カズノコ・開き・半身・・・。
塩蔵したもの、たて塩に漬けたものは寒い玄関に、
干物用のものは段ボールで作った窓付きの箱に吊るして、扇風機乾燥させる。
なんか、山あいのおうちなのに、玄関も居間も、番屋の匂いが充満している。(笑)
屋外にも物置にも干せないんだから、仕方ないよね。
ニシン漁、長く続くと大変そうだなぁ。ダーリン、筋肉痛でバキバキだしなぁ。
それに、雪が融けちゃったら雪洗いはできないなぁ、と思ったが、
いやいや、その頃にはニシン漁は終わって、ダーリンは飲食店のお仕事が始まっているのか。
うまい具合に季節は巡っていくんだなぁ。

まだ起こっていない先の事を想定するのは 必要なことだと思うけれど、
起こるかどうかわからないことを不安に思って心配するのは、不要な気がする。
今 この目の前で出会う ひとつひとつの事を、
毎度毎度 新鮮に出会って、丁寧に楽しんでいけばいいんじゃないかと思う。

大好きなブルーハーツの「情熱の薔薇」という曲に、
『なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ なるべくいっぱい集めよう』
ってフレーズがあるんだけど、心から、そう思うよ。
大事件も、強い刺激も、欲していない。
微細な変化、ちいさな感情の動きを、じっと見つめて味わっていく。
そういう暮らしでありたい、と思うよ。
ふふふ。この雪洗いをしたことで、
いずれ雪が融けて、庭にうっすらと海のミネラルが浸透してくれたらいいなぁ。


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