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色々蠢いている [厚田の野生生物]

ここで時系列を無視してちょっと現状報告。
まだブログ内では冬が来ていないが、本日は3/2。
厚田は凄い嵐だ。
風が吹くたびに家が揺れ、外は久々に猛吹雪だ。

一週間ほど前から車庫兼物置に動物が棲みついた。
ダーリンが物置に行くと、姿は見えねど、どこからか威嚇する唸り声がするという。
物置で干していた魚目当てなのだろう、干物は干しあがる前に無くなっていた。
様子を見に行くたびに、どこからかガサゴソと蠢く音がする。
家の周りには色々と動物の足跡が発見できるが、
キツネもしくはタヌキ、ネズミ、シカなどだ。
だが物置の周りにそれらの足跡はない。
1ヶ月くらい前だろうか、一度、ステーションワゴン君のボンネットにフンがあった。
調べてもそれらのフンとはちょっと違うようだった。
が、今回棲みついた動物のはステーションワゴン君に残したモノより一回り大きい。
物置に毎日のお便り=フンを残す。
明らかに棲みついているのだ。
そしてボンネットにとうとう足跡が付いた。
子供の手形のような足跡。アライグマだ。

通りかかった顔役さんの奥様に相談したら、すぐ箱罠を持ってきてくれた。
途端に警戒して毎日のお便りが無くなった。
出て行ってくれたのか?と思ったが・・・
今日箱罠のフタが閉まっていた。・・・かかってしまった・・・。
複雑な気持ちだ。
週が明けたら役所に連絡して外来生物は処分してもらわなければならない。
あと一日、アライグマは物置の箱罠の中で過ごすのか・・・。

家の中でも壁の裏や天井裏でカリコリと音がする。
あまりに近い所で音がするので、ダーリンを呼んで懐中電灯で照らして見て貰ったら
「ネズミと目があった」という。
おうちの中でもかぁ・・・。
これも、嫌だけど対処方法を考えなきゃいけない。


わかってはいたのだ。こういう土地だと。
色々対処方法を考えねば。
入ってからではなく、こちらの居住区画に近寄れない対処方法を。
入れてしまったのはこちらの不注意なのだ。
ちゃんと住み分けて適切な距離感で居られるようにするのが、
この土地に住む者の務めだと痛感した。
呑気に暮らしてるだけじゃ、済まない事ってあるんだよな。

とりあえず、今晩はこの嵐のなか、
私達も、アライグマも、ネズミも、
嵐を凌げる屋根のある場所で過ごせることを良しとして心を落ち着かせよう。


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生活圏に侵入突破される [厚田の野生生物]

今朝も、おうち周りにたくさんの足跡。
小さな足跡と尻尾を引きずった細い跡。これはネズミだ。
玄関前、サンルーム下へと足跡があり、
埋もれた汲取口あたりに行こうとするも断念し雪山を上って山裾へと続いていく。
家の中で蠢いていたことがあったが、どこかに出入りできる場所があるのかも。

キツネと思われる足跡もいっぱい。
これも山裾に繋がっているが、あちらから来たのか、はたまた帰って行ったのか。
物置周りにもキツネの足跡が残っている。


ダーリンが、「物置に干していた干物が減ってる!」と外から戻ってきた。
いよいよ突破されたか!
物置の周囲はすっかり雪で覆われているのに
どうやって入っているのだろう。
深い雪や床下を掘って入っているのだろうか?
「今度干す時はもっと高い所に干す!」と悔しがっているけど、
本当に物置に干して大丈夫なのかしら・・・。

そして更に。
今までも壁の内側でネズミの気配はしていたのだが、
父の祭壇が荒らされていた! とうとう室内に出てきてしまった!
うちは神道なので、酒・水・塩・米を供えるのが基本なのだが、
お供え用の小さなお皿がひっくりかえって、塩に小さな足跡が!
ネズミの奴、ここに登って米をつついたのか!!
とりあえず、米を目当てに登ろうとしたら、バケツに落ちるようなトラップを手作りして
(とはいえ、もしバケツにネズミが入ってたらその後は
どうしたらいいの・・・と、ふたりで慄いているのだが)
祭壇の場所を変えたりして様子を見ることにした。


冬が本格化し、私達も雪に気をとられていたが、
冬越えをしようとしている動物たちも必死なのだろう。
こ、これはおうちの外も中も、本格防衛が必要だ!


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ネズミとの攻防 [厚田の野生生物]

翌日も、朝起きると祭壇が荒らされていた。
祭壇を棚から離して、食べ物は就寝前に片づけてみたのに。
食べる物がないと、花を食べるのだ。茎だけ散らかっていた。
それだけでなく、キッチンの高い所にあったカスベの干物の袋が床に落ちていた。
「あれ? どうして落ちているんだろう?」と拾い上げると、
袋に齧った痕と、穴が開いていた。

遅れて起きてきたダーリンに報告すると、
「おつまみに、ちびちびむしって食べようと思って作ったのに~」と悔しがった。
なんやかやと都合4回の祭壇襲撃を受けて
これはもう、駆除という選択肢に出るしかない、ということになった。

ネズミは寝静まった夜に出てきて食べ物を探したり、
壁の中でゴソゴソしているのだが、
最近は慣れてきたのか日中にも壁の中で盛んに音がするようになってきた。
そういえば、前に祭壇が荒らされた時、
「あれ?どうしてこんな所に新聞紙が?」と思ったことがあったが、
新聞紙やビニール袋などを使って巣作りをする、と読んだことがある。
複数居るような音ではないのだが、
家の中で子孫繁栄などされてはたまったものではない。

ダーリンと、ネズミ対策グッズの物色に、札幌のホームセンターへ行く。
駆除、といってもネズミ取りのカゴを置くのもなんか嫌だなぁ。
カゴの中にネズミが入っていたとして、そこからどうする?
やっぱ直接手を下さなきゃいけないんだよなぁ・・・。
かといって殺鼠剤を使うのもなんか嫌だ。
「駆除」が目的とはいえ、できればネズミがこのおうちを嫌ってくれる
「忌避」が一番なのだが、侵入を許してしまったのだからもう遅いよねぇ。
様子見、ということで粘着シート2枚入りを購入した。
今晩はネズミの通り道と思われる壁際に1枚仕掛けてから就寝することにした。


翌朝、おそるおそる居間を覗くと、祭壇は荒らされていなかった。
ああ、良かった。と思ったら、小さなヅィー、ヅィー、と音がする。
振り返ってみると、粘着シートにネズミが捉えられて鳴いているではないか!
頭から尻尾まで、体側がベッタリと粘着シートにくっついて寝ている状態。
ビックリして、「うわぁぁぁ~~!!」と声を上げてしまった。
その声にビックリしたのか、私の恐怖がネズミにも伝染したのか、
ネズミもその姿勢のまま、ギィー!ギィー!と大声で叫びだした。
私もネズミも、双方で大パニックである。
大騒ぎしながら2階にダーリンを起こしに行く。
「かかっちゃってる、かかっちゃってるぅ~~~!!」


思っていたよりネズミは大きかった。
私は小さい頃に住んでいた古い家で何度かネズミを見かけたことがある。
小学生だった私から見ても、さほど大きくなく、
ハツカネズミを一回り大きくした位(10cm強?)だったと記憶している。
こ、この子は15cm位あり、胴も太い。
「親指位の穴があれば入って来るって書いてあったけど、この大きい子でも入れるの?」
「これ、野ネズミじゃなく家ネズミだよ。でも思ってたよりデカいな」
努めて冷静に、ダーリンはネズミがくっついたまま、
粘着シートを二つ折りにして挟み、ビニール袋にいれて外へ出て行った。
事前にWebで捕えた後の処理を見ていた。
ちょっとワイルドで残酷だが、捕えたネズミを雪に埋め、上から踏んで雪を密着させる。
そのまま凍死したネズミを燃えるごみで出す、というもの。それを採用した。
ビニール袋に雪を詰め込んで、物置に置いてきたという。

ああ~。とうとう自分達で手を下してしまった。
小さいとはいえ、今まで散々虫たちを大量殺戮しているのに、今更って感じだけど。
そうしたくないのなら、今後は
何としても家の中には入りにくい環境を作るしかない。
おうちは昭和の、築50年超で後にサイディング工事などもしているが、
設計図も残っていないし、配管や配線がどうなっているのかも掴めていない。
傷みも多いし、どこもかしこもが進入路になっている可能性が高い。
けれど、こうまで雪が積もってしまってはどこから侵入しているのか探せない。
春までは、新たに入って来ないことを願うばかりだ。
どうか、どうか、こんなことが続きませんように。


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魅惑のタヌキ [厚田の野生生物]

節分を過ぎた。
まだまだ寒さの底だし、雪も降るけれど、お日様の勢いが増してきているのを実感する。
夜に積雪しても、朝しっかり雪かきしておけば、
日中はお日様が融かしてくれ、所々アスファルトが覗くようになってきた。
お天気に恵まれているうちに、振込や買物がてら あいの里へ行くことにした。

家を出て間もなく、道道月形厚田線を厚田市街地に向かって走っていると、
前方の雪道に三角の黒いモノを発見した。
「うん? 工事のコーンかな?」と凝視するうち、動き出した。

タヌキだ!!

こんな道道の真ん中に座ってるなんて、無防備で危ないじゃないかぁ。
スピードをぐぐっと落として、タヌキが逃げるのを待ったが、
焦ったタヌキ、進行方向に向かって縦に逃げていく。しかも、もたもたと。
「違~う! そっちじゃない~! 間違えてる~!」と車内は大騒ぎ。
冬毛で もふもふしたタヌキは、真後ろから見ると まんまるで、
黒い足がついた毛玉がぽんぽこ、ぽんぽこ、と跳ねているよう。
切迫感がないどころか、愛くるしすぎる。
「何故、脇に逃げないの? 早くお逃げよ~」と焦れていると、
ダーリンが「一生懸命なんだから」と制す。
そういえば、移住直後に札幌往復生活をしていたダーリン、
夜道で時々タヌキを見かけては「可愛いんだよ、もたもたしててさ」とデレデレ話し、
いつもその不器用さを「タヌキは一生懸命だから」と全力擁護してたっけ。
15mほど追いかける形になったが、雪捨て用の横道を見つけ、ささっと逃げて行った。
横道からチロッ、とこちらの様子を振り返るしぐさも、
いかにも気が小さそうで可愛い。
あいの里往復の道中はタヌキ談義一色だった。


帰宅して、YouTubeでタヌキ動画を漁る。
同じように雪道で遭遇したタヌキの姿に、道路脇に逃げられない理由を知った。
タヌキは道路脇にそびえる積まれた雪に飛び乗れないのだ。
動画では飛び乗ろうとして何度も失敗し、時々、
「逃げられないけど、攻撃しないよね?」とばかりにチロッ、と振り返る姿が。
https://www.youtube.com/watch?v=sUZQ3Jc65X8

あ~可愛い。たまらん。
魅惑のタヌキに夢中である。
また、どこかで出会えるかなぁ。


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物置に棲みついた動物 [厚田の野生生物]

このブログは基本的に時系列で記事をUPしているが、
3/2に『色々蠢いている』という現在進行形の記事を挟みこんだことがある。
厚田の野生生物:64歳 空気・呑気な移住日記: (ss-blog.jp)
今回は、その始まりと後日譚だ。


ダーリンが浜にお手伝いに行ってから、時々たくさん魚を貰って帰ってきた。
それを干物にすべく、車庫兼物置に吊るしていた。
干物が少しずつ減りだし、物置周りにキツネと思われる足跡があったので、
ずっとキツネだと思っていた。
ホッケやハタハタの干物がすべて無くなり、
ニシンのお手伝いが始まってからは「今度は身欠きニシンを作る」、と
干す場所を工夫して再度張り切って挑戦し始めた頃だった。
物置に入ると、姿は見えないが唸り声で威嚇された、と言うようになった。
作業の時にずっとシャッターを開けていた日もあったため、
「もしかしてその時に入って閉じ込められたのか?」と思い、
二人でシャッターを小さく開けて、周囲の壁を叩いて追い出し作戦をしたりもした。
が、依然物置では唸り声やガサガサ動く気配がしていた。
その後もステーションワゴン君のボンネットにフンをされたり、
ニシンもすべて消えたりして、出入りというより棲みついてしまったようだ。
もう、どこに干しても ただの餌場になるだけと知り、物置での干物は諦めた。

「どうしよう? 冬越しして繁殖でもされたら?」と嫌な想像が膨らむ。
ダーリンは「私、ここで産む!」って決めてるような気がする、と言う。
何が棲みついているのかわからないまま膠着状態は続いた。
2/19、ボンネットに付いた足跡から、アライグマと判断した。
アライグマは木登りも得意なので、どこに干そうが同じ事だったんだ、と納得。
煙が嫌いらしいので、屋外用の虫除け線香を焚きしめてみたが、効果なし。
まぁ、物置にはおそらくキツネが穴を掘って入れるような入口も作っていただろうし、
屋根の隙間や歪んで三角に隙間が開いている窓からだって入れるかもしれないしね。
煙も だだ漏れで充満しなかったと思われる。
それからも、ほぼ決まった所にフンをする、という「毎日のお便り」が続いた。

2/24に顔役さんの奥様が通りかかり、相談したところ、
午後にはすぐ箱罠と、「これ付けとくといいわよ」と魚肉ソーセージを持っていらした。
エサの付け方を教えてもらい、奥様と二人で恐る恐る物置のシャッターを開けると、
薪づくりのためにゴタゴタと積んである丸太の向こうに隠れる、
縞々尻尾のお尻を目撃!
間違いない! 棲んでいるのはアライグマだ!
アライグマは なかなか獰猛だと聞いていたので、
二人で「怖い、怖い」と言いながら、手近な場所に箱罠を置いたのだった。

翌日。そっと物置を覗くと、魚肉ソーセージは無くなっていたが、
箱罠のふたは開いたまま。
??? エサだけ取られる、ってこともあるのか?
顔役さんの奥様は「すぐにはかからないかもしれないから暫くそのままで」、
山のプロさんは「ニシンの頭でも下げとけばすぐ捕まるべよ」との助言から、
もらってきたニシンを箱罠に入れ、様子を見ることにした。

そこから一週間。
「毎日のお便り」は、ぷっつりと途絶えた。
居なくなったのかどうかはわからない。唸り声は、私はまだ聞いたことがない。
ニシンはこの気温の中、カチカチの冷凍状態で箱罠に入ったままだった。

3/2。今日も恐る恐る物置を覗く。
ぎょえ~~~。箱罠のフタが閉まっている。
壁側に向かって置いてあるので、暗くて中は良く見えないが、
そっと覗くと、箱罠の中の小さな眼も、こちらを覗いていた。
ああ~。かかっちゃたんだ。どうしよう。
かかったからには、生殺与奪は私たちの手に委ねられてしまったのだ。
しかも今日は土曜日。役所に相談しようにも、今日・明日は動けない。
帰宅したダーリンに報告した。
夏の終わり、『夜の峠で自転車ツーリングのおじいちゃんを拾った事件』の時に見た、
獲物を咥えて道道を渡っていたアライグマの姿を思い出す。
ヘッドライトに照らされて、一瞬威嚇ポーズを取ってから走り去った、獰猛そうな姿。
はっきりと見えた、縞々尻尾。
アライグマは外来生物なので、私達素人が勝手に逃がしても死なせてもいけない。
野生生物の命、という重い現実に、二人して どんよりしたのだった。
もう二度と、こんなことにならないように、
お互いの生活圏で棲み分けできるようにしなきゃね。
念のため、顔役さんちに「かかっちゃいました」と アドバイスを求めに行った。
月曜に引き取りに来てくれるよう、その部署と繋がっているご家族から
担当部署に連絡しておいてくれるそうだ。

翌 日曜日も、物置の箱罠のことが気になって仕方がなかった。
「寒いかなぁ。何かに潜ってるのと違って、箱罠だと外気に晒されてるよね」
「相手は野生生物ですからっ。元々この寒い中で暮らしてるのっ」と諭される。
とかいいつつ、ダーリンは、残っていた魚肉ソーセージの欠片を持って物置に行った。
「最後の晩餐に、ソーセージ、やってきた」ですと。

3/4、月曜の朝。発足にしては強めの風の、吹雪だった。
物置前に箱罠を出しておけば、立ち会わなくても引き取っていってくれるとのこと。
物置の隅に設置した箱罠を持ち上げて外に出す。
4~5kg位なのだろうか。箱罠だけの時より少し重いだけだが、
そっと持ち上げていても揺れるのか、中でキョロキョロしている位の重心の変化を感じて、
静かに移動するのが大変だった。
吹雪の中、引き取りが来るまではさぞ寒かろう。
いやいや、その後に待っているのは寒さどころの騒ぎじゃないか。
駆除、だよね・・・。
明るい所で初めて中の動物をまじまじと見る。

ん? これ、アライグマ?
尻尾を巻いているのか、縞々尻尾は確認できない。
顔も、額の真ん中に黒い筋が入っているはずだし、耳の縁は白いはずだが?
獰猛さも感じない。覗き込むといちおう威嚇してくるが、
小さい「ウウ~」という声で迫力がないし、下から覗く眼が、いかにも気が小さそう。

「君、タヌキじゃないの?」

いや、でも私は確かに見た。物置で、縞々の尻尾を。
ボンネットにペタペタ付けられた、赤ちゃんの手形のようなアライグマの足跡を。
自信がないので、判断は専門家にお願いしよう。

見慣れない車が通り過ぎ、ほどなくして帰って行った。
役所の担当者さんが来たのかと様子を見に行くと、空の箱罠だけが残っていた。
ドナドナされていったのね・・・。


翌日、顔役さんの奥様が、
「タヌキだったんだって。外来生物じゃないから逃がしてやったって」と
『タヌキとアライグマの見分け方』のプリントを持って、知らせに来てくれた。
やっぱり! 
なんてこった! 魅惑のタヌキを、捕えてしまったんだ!!
物置周りを確認すると、キツネとは違うと思われる足跡が残っていた。
ここから裏の裾野に逃がしてやったのかぁ。
何はともあれ、アライグマも、タヌキも、殺さずに済んでホッとした。


それにしても、そんなに取っ換え引っ換え野生動物が出入りしてんのか、
うちの物置・・・。



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それはまるで鰹のように [厚田の野生生物]

夏と違って冬の間は、虫の悩みは少なくなる。
でも、いない訳じゃない。
何せカメムシは家のあらゆる隙間を使って越冬しているのだ。
甲虫なので、飛ぶ時の羽音は けっこう盛大に「ブゥーン!」と大きい。
吉田戦車の『伝染るんです』のキャラクター、『カブトムシの斎藤さん』を想起させる。
泣きながら、うわぁ~! ブゥーン!と飛ぶ、あのキャラみたいだ。
掃除していると、羽の一部や甲殻の一部が落ちていて、
「なんか、自分のカラダを削りながら満身創痍で飛んでるのか?」とちょっと切なくなる。
この時期に出てくるカメムシは元気がない。
動きも緩慢で、あまり長時間飛ばずに、明るくて暖かいところに じっと とまっている。
そして体力の限界、みたいにポトッと落ちてくる。
明るくて暖かいところ・・・暖気が溜まって照明がある天井付近。
とりもなおさず調理しているキッチンや、灯りの下の食卓だ。


移住して間もない頃、虫の多さをボヤくと地元の方々は皆、言っていた。
「そのうち慣れますから」と。
移住の大先輩、厚田くんせいのお母さんも、
「虫が出た~!と大騒ぎしてたらこの土地じゃ生きていけないよ。
我も生きてる、奴も生きてる、だよ」と
その後の自分を落ち着かせる言葉をくださった。
でも、でも! 食卓は嫌だ~! 食べる物の傍には居てほしくないのよ~!
食卓近くに落ちるカメムシに目くじらを立てながら大騒ぎしていると、
ダーリンが可愛い声色でカメムシの代弁をする。
「でも、僕たち、冬のあいだ ずっと一緒に棲んでいたんだよ?」
違う、違~う! 居たのは知ってるけど、同居してるつもりは無いっ!

そんなある日。
ごちそうさまをして食器を片づけようとしたら、柚子大根の漬物が一口残っていた。
お行儀悪く、立ったまま残りをパクッと口に含むと、
もわ~んと異様な匂いが。
恐る恐る吐き出すと、漬物の中にカメムシが紛れ込んでいた。
ぎゃ~!! カメムシ、食べちゃった! 知らない間に落ちてたんだ!
口をゆすいでも、いつまでも仄かに残るカメムシ臭。
ごちそうさまの後のシアワセの余韻が・・・テンション ガタ落ちだ。
ダーリンがまた、可愛い声色で「僕、パクチーみたいな香りでしょ」と代弁。
私はパクチーも苦手なんだいっ! プイッ!


カメムシは自分一匹がギリギリ入れそうな、サッシの空間とか床の隙間が好き。
窓の桟や柱の角などヘリを歩くのが好き。
冬になる前に越冬目的で大量におうちに入り込んで来たカメムシたちは、
きっとそんな条件に合ったところで、行列になってじっとしている。
最初にもぐり込んだ子は後ろがつかえて出られないから、
きっと最後尾の子から順に、明るく暖かい所に飛び出してくるんじゃないかと思っている。
啓蟄を越えた頃から徐々に出没頻度が高くなっている気がする。
暦の一か月遅れの気候、と言われている北海道でも、虫に関しては暦通りなのかしら。
ダーリンったら、「初鰹と戻り鰹みたいなものかねぇ」ですと。
大量に入り込んで来て、二人で病んだように「カメムシぽっとん」で捕殺し続けた晩秋。
あれは、初ガメだったのでしょうか・・・。
そして今、戻りガメの季節がやってくるのでしょうか・・・。と遠い眼になる。

窓下の雪が日々縮んでいくのを見ていた時に気付く。
雪の中に転々と、黒いモノが落ちている。カメムシだ。
ああ、そうか。おうち周りに潜んで越冬したカメムシが、
明るい外に飛び出し始めているんだ。
そうだよね。本当はおうちの中じゃなく、外に出たいんだよね。

我も生きてる、奴も生きてる。
頑張れ、カメムシ。君たちが森で伸び伸び生きる季節はもうそこまで来ている。
いや、でも、食卓やキッチンで会うのは御免だけどねっ!


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つがいのタヌキ [厚田の野生生物]

4/18。
日々お陽さまの勢いが強くなり、暖房を消す時間が長くなってきた。
あれだけ積み上がって「いつになったら融けるんだろう」と思っていた雪も、
みるみる面積が小さくなっていく。
融雪剤にと撒いたもみ殻燻炭の場所はもちろんのこと、
周囲もガンガン融けだして、いま裏原野も、山裾も、畑候補の台地も、
土が露出している面積の方が圧倒的に多くなった。
いずれここ一帯を覆うだろう笹薮も、重い雪から解放されてむっくり起き上がってきている。
日ごとに、というより朝夕で風景がガンガン変わっていく。
発足の春は、駆け足どころか全速力で疾走中だ。
日の出・日の入りの時間を確認したら、4:44と18:24だった。
山に囲まれた発足では、どちらも30分ほどずれるんだけどね。

ゴミを出した後だから、9時過ぎくらいだったろうか。
ダーリンとコーヒー飲みながらまったり過ごしていたら、視界に何かがよぎった。
見ると、タヌキがおうちの前の道路をトコトコ歩いている。
「ダーリン、タヌキだよっ!」と声をかける。
少し距離を置いて、もう一匹も歩いてきた。
2匹とも、道路から方向を変え、おうちに向かってきた。
駐車しているステーションワゴン君の横を通って、庭のウッドペッカーの木の下へ。
うわ~、近い。息を殺してそっと見守る。
黒っぽい方が雄、少し茶色っぽい方が雌なんじゃないかと思う。
雌は道路沿いの側溝脇を、雄は庭の中を縦横無尽に、
くんくんと臭いを確かめながら歩き回る。
まだ冬毛で もこもこしている。肩幅があるせいか、ひねりの入った歩き方。
真後ろから見ると丸い毛玉がもそもそ蠢いているみたいで、なんとも愛嬌がある。
庭から奥の原野へ向かっている様子で、視界から消えてしまった。
急いで2階へ移動し、庭を見渡せる窓からタヌキの姿を追う。

農業ハウスの周囲をウロウロした後、角にちょこんと座った。
庭を渡らずに側溝脇を歩いていた雌も遠回りして合流し、
2匹で丸くなって背中を合わせて寝転んだり、毛繕いをし合ったりしている。
仲良しだなぁ。いつもこうやって睦みあっているのかなぁ。
建物の陰なので道路を行きかう車にも怯えることなく、のんびりと休憩している。
こんな昼間に、里に下りてきて まったりしているなんて。
発足って、本当に豊かなところだなぁ。

早々に観察をやめて階下へ下りて行ったダーリンが、
「ちょっと用事足してくる」と出かけて行った。
一緒に階下に下りて、キッチンから裏原野を見ると、タヌキ達も裏原野に移動していた。
雌は裏原野でも農業ハウス脇を注意深くゆっくり移動し、
ウロウロ動き回る雄が、時々雌の所に戻って来ては、またウロウロと離れていく。
くんくん、もそもそと、ゆっくり原野を歩き回り、
最後は2匹で裏山に消えて行った。

あ~、楽しかった。
もしかして、あの雄は、物置で箱罠にかかった子だろうか。
だとしたら、怖い思いをさせてゴメンネ。
ダーリンは、「最後の晩餐ソーセージを食べた子が、カノジョを見せに来た」と
思ったらしい。
だ、だとしたら、カノジョに「ここん家はニシンやソーセージをくれるよ」と
紹介しているのか? か、軽い餌付けをしちゃったのか?
それはそれで、困るけど。

何はともあれ、もう危害は加えないから、また遊びにおいで。
私は愛嬌たっぷりの君たちに、ぞっこんだよ。


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ネズミ侵入、再び [厚田の野生生物]

雪が融け日当たりが良くなった来ると、キッチン隣の極寒の部屋が、むしろ暖かくなってきた。
最初にここからDIYに手を付けようと、壁紙を剥がし、鴨居や長押を外し、
しかも作業場に使ったりゴミの一時置き場にしている部屋。さしずめ住居内物置である。
一番汚くしている部屋なのだが、極寒だったので根菜類の保管場所にもなっていた。
さすがにもう根菜保管の温度じゃないな、とキッチンに根菜類を移動した。
その夜、根菜のあたりでガサガサガサッ!と音がした。
「ダーリン、なんか居るっ!」と慌てる私。
ライトを当てたり、物の陰を覗いたりしたが、何も見つけられなかった。
立てて保存していたゴボウのビニール袋が倒れていたが、
ただこれが倒れた音だったのか? 
米袋に入れ替えて、倒れないようにマチを作って再度立てて保存し直した。


翌朝。ストーブの横に、見慣れない丸いものが。
恐る恐る近づく。
昨日、トドックで届いたジャガイモ? 齧った痕がある!
ああ~。またネズミに侵入突破されている~~~。
キョロキョロ見回したが、父の祭壇は無事だったし、他を荒らされた様子は無い。
毎日雪が降っていたころ、動物たちの足跡は玄関からサンルーム周りを徘徊していた。
その辺りに、どこか外からの侵入口があるのかも、と疑ってはいた。
だからアオダイショウくんがサンルーム周りをウロウロしていたのかしら?

敢えて片づけずに、ダーリンが起きてくるのを待つ。
起きてきたダーリンに、「ネズミじゃないかと思う」と報告。
齧ったかけらがある場所から「ここがルートか?」と通り道を推測。
やはり昨日のガサガサは根菜目当てに侵入していた音だったのだ。
「大好きなジャガイモが~。ゴボウは倒れてたけどなんともなかったのに」と嘆くと、
「ネズミは白いものが好きらしいよ」とダーリンが謎の知識を披露。
もう一枚、ネズミ捕獲シートがあるので、このまま通り道に置いてみることにした。


その日私はスギナ茶づくりのためスギナをたっぷり摘み、
間引いてきたイタドリの下処理作業をしていた。
お休みなのでダーリンに晩御飯を作ってもらっていた。
ダーリンが、「何か動いてる!」と小さく叫ぶ。
見ると、仕掛けたネズミ捕獲シートに、・・・かかっていた。
あ~、かかっちゃった・・・。
今回は、ハツカネズミサイズの、小さい子。
かかってほしくて、仕掛けてるんだけど、かかっちゃうと、げんなりするんだよなぁ。
これから、駆除、しなくちゃならないんだよなぁ。
近づくと、ダーリンが、「調理が終わったらするから、触らないでいて」と言う。
ダーリンだって、嫌だろうに。
調理が終わるまで、4本の足をトリモチ状の粘着剤に捉えられながら、
ネズミは脱出しようと足掻く。時々、鳴く。
「そんな可愛い声で鳴いてくれるなよ」とダーリンがしょんぼり。
雪の季節じゃないので外で凍死させることはできない。
溺れさせるのが一般的らしい。・・・
ビニール袋を持ってダーリンはネズミと共に外に出ていった。


どんより。重苦しい空気が流れる。
「ヘビが居るとネズミは居ない、ネズミが居るとカマドウマは居ない」という
いつか聞いたダーリンの謎知識を思い出す。
ああ、アオダイショウくん、おうちの外でなんとか食い止めてほしかったよぉ・・・。

でも、あれ以来、壁の中や天井裏でガサガサする音はしなくなったかも。
一匹だけの侵入でありますように・・・。
今後は頼むよ、アオダイショウくん!


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