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ひらひら舞う手 [父の介護]

12/1。
ハタハタのお手伝いの休みをもらって、二人で父に会いに行く。
時化なければ明日も夜明け前からお手伝いがあるかもしれないので、
午前中に行って早めに戻ろう。

父は点滴の針が血管に入らないので、皮下点滴になっていた。
看護師さんが二人掛かりで父に床擦れができないよう、
大きなクッションや抱き枕を使って手際よく姿勢を変えてくれた。
きめ細かなケアのおかげで父の身体はとてもキレイだ。
私達からすると暖かい部屋なのだが、父は手も足も冷たい。
心臓だって心房細動を抱えているのだから、
末端まで血液を行き渡らせるほどの体力がないのだろう。
前回看護師さんが「あたたかい手袋とか靴下があるといいかもしれませんね」と
アドバイスをくれたので、買ってきた手袋をしようとしたが、
手をひらひらと動かして避けるので、無理にするのはやめておいた。
少しは温かく感じるかしらと両掌でくるんでみたり、さすってみたが、
じっと預けてくれるのは最初だけで、またひらひらと動かして避けてしまう。
手が冷たいので布団をかけてみても、すぐ手をだしてひらひらと動かす。

足はどうかしらと擦ってみる。冷たい足。
少し浮腫みが出ているので、母の時を思い出してマッサージする。
母はあの時、「ずいぶん楽になった」と言ってくれたが、
同じことをしても父は手で×サインを出す。足を擦るのも嫌みたいだ。
転院する頃は、肯定の時頷くことができたが、
今は手を動かして○か×かのサインを出すしか意思表示ができない。
今 父が自由に動かせるのはこの手だけなんだ。
もしかして、このひらひら舞う手は無意識に動いているのかもしれない。
あれをしたい、これをしたいと思っても動かない身体の代わりに、
唯一動く、この手で何かをしているように見えてくる。
なんとなく、父の意識はこの身体に強固に定着しているのではなく、
ひらひら舞っているこの手のような状態でいるような気がしてならなかった。

どうしたら喜んでくれるのか、少しでも楽に過ごしてもらえるのか、
正解がわからないまま、帰宅する時間になった。


姉は入れ替わりで午後に来てくれるという。
介護職の経験がある姉なら、父が喜ぶことがしてあげられるかもしれない、と
淡い期待を抱きながら、厚田へ戻った。
ほんの5~6時間空けていただけなのに、厚田のおうちの駐車場は
10cmの積雪で埋まっており、早速の雪かきとなった。
そして、翌朝目覚めると、すでに20cmの雪が積もっていた。


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