それはまるで鰹のように [厚田の野生生物]
夏と違って冬の間は、虫の悩みは少なくなる。
でも、いない訳じゃない。
何せカメムシは家のあらゆる隙間を使って越冬しているのだ。
甲虫なので、飛ぶ時の羽音は けっこう盛大に「ブゥーン!」と大きい。
吉田戦車の『伝染るんです』のキャラクター、『カブトムシの斎藤さん』を想起させる。
泣きながら、うわぁ~! ブゥーン!と飛ぶ、あのキャラみたいだ。
掃除していると、羽の一部や甲殻の一部が落ちていて、
「なんか、自分のカラダを削りながら満身創痍で飛んでるのか?」とちょっと切なくなる。
この時期に出てくるカメムシは元気がない。
動きも緩慢で、あまり長時間飛ばずに、明るくて暖かいところに じっと とまっている。
そして体力の限界、みたいにポトッと落ちてくる。
明るくて暖かいところ・・・暖気が溜まって照明がある天井付近。
とりもなおさず調理しているキッチンや、灯りの下の食卓だ。
移住して間もない頃、虫の多さをボヤくと地元の方々は皆、言っていた。
「そのうち慣れますから」と。
移住の大先輩、厚田くんせいのお母さんも、
「虫が出た~!と大騒ぎしてたらこの土地じゃ生きていけないよ。
我も生きてる、奴も生きてる、だよ」と
その後の自分を落ち着かせる言葉をくださった。
でも、でも! 食卓は嫌だ~! 食べる物の傍には居てほしくないのよ~!
食卓近くに落ちるカメムシに目くじらを立てながら大騒ぎしていると、
ダーリンが可愛い声色でカメムシの代弁をする。
「でも、僕たち、冬のあいだ ずっと一緒に棲んでいたんだよ?」
違う、違~う! 居たのは知ってるけど、同居してるつもりは無いっ!
そんなある日。
ごちそうさまをして食器を片づけようとしたら、柚子大根の漬物が一口残っていた。
お行儀悪く、立ったまま残りをパクッと口に含むと、
もわ~んと異様な匂いが。
恐る恐る吐き出すと、漬物の中にカメムシが紛れ込んでいた。
ぎゃ~!! カメムシ、食べちゃった! 知らない間に落ちてたんだ!
口をゆすいでも、いつまでも仄かに残るカメムシ臭。
ごちそうさまの後のシアワセの余韻が・・・テンション ガタ落ちだ。
ダーリンがまた、可愛い声色で「僕、パクチーみたいな香りでしょ」と代弁。
私はパクチーも苦手なんだいっ! プイッ!
カメムシは自分一匹がギリギリ入れそうな、サッシの空間とか床の隙間が好き。
窓の桟や柱の角などヘリを歩くのが好き。
冬になる前に越冬目的で大量におうちに入り込んで来たカメムシたちは、
きっとそんな条件に合ったところで、行列になってじっとしている。
最初にもぐり込んだ子は後ろがつかえて出られないから、
きっと最後尾の子から順に、明るく暖かい所に飛び出してくるんじゃないかと思っている。
啓蟄を越えた頃から徐々に出没頻度が高くなっている気がする。
暦の一か月遅れの気候、と言われている北海道でも、虫に関しては暦通りなのかしら。
ダーリンったら、「初鰹と戻り鰹みたいなものかねぇ」ですと。
大量に入り込んで来て、二人で病んだように「カメムシぽっとん」で捕殺し続けた晩秋。
あれは、初ガメだったのでしょうか・・・。
そして今、戻りガメの季節がやってくるのでしょうか・・・。と遠い眼になる。
窓下の雪が日々縮んでいくのを見ていた時に気付く。
雪の中に転々と、黒いモノが落ちている。カメムシだ。
ああ、そうか。おうち周りに潜んで越冬したカメムシが、
明るい外に飛び出し始めているんだ。
そうだよね。本当はおうちの中じゃなく、外に出たいんだよね。
我も生きてる、奴も生きてる。
頑張れ、カメムシ。君たちが森で伸び伸び生きる季節はもうそこまで来ている。
いや、でも、食卓やキッチンで会うのは御免だけどねっ!
でも、いない訳じゃない。
何せカメムシは家のあらゆる隙間を使って越冬しているのだ。
甲虫なので、飛ぶ時の羽音は けっこう盛大に「ブゥーン!」と大きい。
吉田戦車の『伝染るんです』のキャラクター、『カブトムシの斎藤さん』を想起させる。
泣きながら、うわぁ~! ブゥーン!と飛ぶ、あのキャラみたいだ。
掃除していると、羽の一部や甲殻の一部が落ちていて、
「なんか、自分のカラダを削りながら満身創痍で飛んでるのか?」とちょっと切なくなる。
この時期に出てくるカメムシは元気がない。
動きも緩慢で、あまり長時間飛ばずに、明るくて暖かいところに じっと とまっている。
そして体力の限界、みたいにポトッと落ちてくる。
明るくて暖かいところ・・・暖気が溜まって照明がある天井付近。
とりもなおさず調理しているキッチンや、灯りの下の食卓だ。
移住して間もない頃、虫の多さをボヤくと地元の方々は皆、言っていた。
「そのうち慣れますから」と。
移住の大先輩、厚田くんせいのお母さんも、
「虫が出た~!と大騒ぎしてたらこの土地じゃ生きていけないよ。
我も生きてる、奴も生きてる、だよ」と
その後の自分を落ち着かせる言葉をくださった。
でも、でも! 食卓は嫌だ~! 食べる物の傍には居てほしくないのよ~!
食卓近くに落ちるカメムシに目くじらを立てながら大騒ぎしていると、
ダーリンが可愛い声色でカメムシの代弁をする。
「でも、僕たち、冬のあいだ ずっと一緒に棲んでいたんだよ?」
違う、違~う! 居たのは知ってるけど、同居してるつもりは無いっ!
そんなある日。
ごちそうさまをして食器を片づけようとしたら、柚子大根の漬物が一口残っていた。
お行儀悪く、立ったまま残りをパクッと口に含むと、
もわ~んと異様な匂いが。
恐る恐る吐き出すと、漬物の中にカメムシが紛れ込んでいた。
ぎゃ~!! カメムシ、食べちゃった! 知らない間に落ちてたんだ!
口をゆすいでも、いつまでも仄かに残るカメムシ臭。
ごちそうさまの後のシアワセの余韻が・・・テンション ガタ落ちだ。
ダーリンがまた、可愛い声色で「僕、パクチーみたいな香りでしょ」と代弁。
私はパクチーも苦手なんだいっ! プイッ!
カメムシは自分一匹がギリギリ入れそうな、サッシの空間とか床の隙間が好き。
窓の桟や柱の角などヘリを歩くのが好き。
冬になる前に越冬目的で大量におうちに入り込んで来たカメムシたちは、
きっとそんな条件に合ったところで、行列になってじっとしている。
最初にもぐり込んだ子は後ろがつかえて出られないから、
きっと最後尾の子から順に、明るく暖かい所に飛び出してくるんじゃないかと思っている。
啓蟄を越えた頃から徐々に出没頻度が高くなっている気がする。
暦の一か月遅れの気候、と言われている北海道でも、虫に関しては暦通りなのかしら。
ダーリンったら、「初鰹と戻り鰹みたいなものかねぇ」ですと。
大量に入り込んで来て、二人で病んだように「カメムシぽっとん」で捕殺し続けた晩秋。
あれは、初ガメだったのでしょうか・・・。
そして今、戻りガメの季節がやってくるのでしょうか・・・。と遠い眼になる。
窓下の雪が日々縮んでいくのを見ていた時に気付く。
雪の中に転々と、黒いモノが落ちている。カメムシだ。
ああ、そうか。おうち周りに潜んで越冬したカメムシが、
明るい外に飛び出し始めているんだ。
そうだよね。本当はおうちの中じゃなく、外に出たいんだよね。
我も生きてる、奴も生きてる。
頑張れ、カメムシ。君たちが森で伸び伸び生きる季節はもうそこまで来ている。
いや、でも、食卓やキッチンで会うのは御免だけどねっ!
イワシ三昧 [保存食]
今日の肥料袋いっぱいのお土産は、マイワシだった。
やっほ~! イワシ、大好物!
発足の皆さんはニシンのお裾分けが多いらしく、大体が被ってしまうのだが、
イワシはそんなに頻度は高くないと思われる。
この機会に、ご近所めぐりだ~!
「被ってます?」と聞くと、皆さん、「いやいや、イワシはなかなか貰わないね」と
良い反応で受け取っていただけた。喜んでいただけて、満足、満足。
特に、大家族の飛ぶ鳥農場さんは たくさん引き取っていただける上、
元気なワイルドボーイズたちが魚を捌きたがるらしく、子供たちの喜ぶ姿が嬉しい。
おうちでも、まだまだ たくさんのイワシがシンクで唸っている。
ダーリンは小さめのものはアンチョビに、
中くらいのものはオイルサーディンに、
大きめのものは丸干しにと、大車輪で保存食を作っていく。
オイルサーディンを自家製で、なんて考えたこともなかったなぁ。
一家に一人、料理人が居ると大変便利です。おすすめです。(笑)
数年前、石狩浜に大量にイワシが打ち上げられたことがあって、
小さいカタクチイワシだったが、わざわざ拾いに行ったことがあった。
煮干しを作って、アンチョビも漬けた。
少量だったせいもあるのか、アンチョビは うまくできたと思う。
ちょっぴり魚醤もとれて、なかなか楽しかった。
石狩浜のカタクチイワシは、細かい砂をたくさん噛んでいるので、
煮干しはなんかジャリジャリ感があってイマイチだった。
煮干粉にしてみたものの、やっぱりなんか砂が混じっているような感じがして、
だしパックに入れて使いきったが、その後は挑戦していない。
味をしめたアンチョビは、翌年、スーパーで購入したマイワシで再挑戦した。
カタクチイワシのようには うまく塩がまわらなかったのか、
漬けあがり当初は良かったのだが日持ちせず、
最後は発酵と腐敗の境目のような臭いになってしまった。
さて、今回のマイワシのアンチョビはどうなるのかしら。
漬けあがりが、楽しみ、楽しみ。
今晩はイワシ三昧の晩御飯を作ってくれると言う。
刺身と、タタキと、天ぷらだそうよ。
うふふふふ。まずは獲れたてを楽しみますか~!
やっほ~! イワシ、大好物!
発足の皆さんはニシンのお裾分けが多いらしく、大体が被ってしまうのだが、
イワシはそんなに頻度は高くないと思われる。
この機会に、ご近所めぐりだ~!
「被ってます?」と聞くと、皆さん、「いやいや、イワシはなかなか貰わないね」と
良い反応で受け取っていただけた。喜んでいただけて、満足、満足。
特に、大家族の飛ぶ鳥農場さんは たくさん引き取っていただける上、
元気なワイルドボーイズたちが魚を捌きたがるらしく、子供たちの喜ぶ姿が嬉しい。
おうちでも、まだまだ たくさんのイワシがシンクで唸っている。
ダーリンは小さめのものはアンチョビに、
中くらいのものはオイルサーディンに、
大きめのものは丸干しにと、大車輪で保存食を作っていく。
オイルサーディンを自家製で、なんて考えたこともなかったなぁ。
一家に一人、料理人が居ると大変便利です。おすすめです。(笑)
数年前、石狩浜に大量にイワシが打ち上げられたことがあって、
小さいカタクチイワシだったが、わざわざ拾いに行ったことがあった。
煮干しを作って、アンチョビも漬けた。
少量だったせいもあるのか、アンチョビは うまくできたと思う。
ちょっぴり魚醤もとれて、なかなか楽しかった。
石狩浜のカタクチイワシは、細かい砂をたくさん噛んでいるので、
煮干しはなんかジャリジャリ感があってイマイチだった。
煮干粉にしてみたものの、やっぱりなんか砂が混じっているような感じがして、
だしパックに入れて使いきったが、その後は挑戦していない。
味をしめたアンチョビは、翌年、スーパーで購入したマイワシで再挑戦した。
カタクチイワシのようには うまく塩がまわらなかったのか、
漬けあがり当初は良かったのだが日持ちせず、
最後は発酵と腐敗の境目のような臭いになってしまった。
さて、今回のマイワシのアンチョビはどうなるのかしら。
漬けあがりが、楽しみ、楽しみ。
今晩はイワシ三昧の晩御飯を作ってくれると言う。
刺身と、タタキと、天ぷらだそうよ。
うふふふふ。まずは獲れたてを楽しみますか~!
雪洗い [厚田民としての生活]
ダーリンがニシンの網外しのお手伝いに、早朝から出かけていく。
早い時は昼ごろ、大漁の時は夕方遅くなってから、コタコタになって帰ってくる。
長靴にはニシンの大きなウロコを大量に付けて、
ジャンパーにはウロコやカズノコ・潮の固まりのようなものをいっぱい付けて、
海の香りをさせながら帰宅するのだ。
このまま洗濯機にかけるわけにはいかないので、
ふんだんにある雪を使って、外で下洗いをすることを思いついた。
雪の上で ややこすり付けるようにガシガシと滑らせると、
ジャンパーに付いた固形物は大体こそげ落とすことができる。
長靴に貼りついたウロコは、ちょっと握って固くした雪でゴシゴシすると、
氷の粒がクレンザーの役割を果たして、あらかたのウロコが落ちてくれる。
秘儀、雪洗いの術~。
あとは、おうちの中で特に汚れた部分を下洗いしてから洗濯機におまかせするのだ。
私は魚が得意ではないので、もっぱら魚調理はダーリンの担当だ。
肥料袋いっぱいのお土産を、疲れたカラダにムチ打って、大量に捌いてくれる。
冷蔵庫に入りきらない量の白子・カズノコ・開き・半身・・・。
塩蔵したもの、たて塩に漬けたものは寒い玄関に、
干物用のものは段ボールで作った窓付きの箱に吊るして、扇風機乾燥させる。
なんか、山あいのおうちなのに、玄関も居間も、番屋の匂いが充満している。(笑)
屋外にも物置にも干せないんだから、仕方ないよね。
ニシン漁、長く続くと大変そうだなぁ。ダーリン、筋肉痛でバキバキだしなぁ。
それに、雪が融けちゃったら雪洗いはできないなぁ、と思ったが、
いやいや、その頃にはニシン漁は終わって、ダーリンは飲食店のお仕事が始まっているのか。
うまい具合に季節は巡っていくんだなぁ。
まだ起こっていない先の事を想定するのは 必要なことだと思うけれど、
起こるかどうかわからないことを不安に思って心配するのは、不要な気がする。
今 この目の前で出会う ひとつひとつの事を、
毎度毎度 新鮮に出会って、丁寧に楽しんでいけばいいんじゃないかと思う。
大好きなブルーハーツの「情熱の薔薇」という曲に、
『なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ なるべくいっぱい集めよう』
ってフレーズがあるんだけど、心から、そう思うよ。
大事件も、強い刺激も、欲していない。
微細な変化、ちいさな感情の動きを、じっと見つめて味わっていく。
そういう暮らしでありたい、と思うよ。
ふふふ。この雪洗いをしたことで、
いずれ雪が融けて、庭にうっすらと海のミネラルが浸透してくれたらいいなぁ。
早い時は昼ごろ、大漁の時は夕方遅くなってから、コタコタになって帰ってくる。
長靴にはニシンの大きなウロコを大量に付けて、
ジャンパーにはウロコやカズノコ・潮の固まりのようなものをいっぱい付けて、
海の香りをさせながら帰宅するのだ。
このまま洗濯機にかけるわけにはいかないので、
ふんだんにある雪を使って、外で下洗いをすることを思いついた。
雪の上で ややこすり付けるようにガシガシと滑らせると、
ジャンパーに付いた固形物は大体こそげ落とすことができる。
長靴に貼りついたウロコは、ちょっと握って固くした雪でゴシゴシすると、
氷の粒がクレンザーの役割を果たして、あらかたのウロコが落ちてくれる。
秘儀、雪洗いの術~。
あとは、おうちの中で特に汚れた部分を下洗いしてから洗濯機におまかせするのだ。
私は魚が得意ではないので、もっぱら魚調理はダーリンの担当だ。
肥料袋いっぱいのお土産を、疲れたカラダにムチ打って、大量に捌いてくれる。
冷蔵庫に入りきらない量の白子・カズノコ・開き・半身・・・。
塩蔵したもの、たて塩に漬けたものは寒い玄関に、
干物用のものは段ボールで作った窓付きの箱に吊るして、扇風機乾燥させる。
なんか、山あいのおうちなのに、玄関も居間も、番屋の匂いが充満している。(笑)
屋外にも物置にも干せないんだから、仕方ないよね。
ニシン漁、長く続くと大変そうだなぁ。ダーリン、筋肉痛でバキバキだしなぁ。
それに、雪が融けちゃったら雪洗いはできないなぁ、と思ったが、
いやいや、その頃にはニシン漁は終わって、ダーリンは飲食店のお仕事が始まっているのか。
うまい具合に季節は巡っていくんだなぁ。
まだ起こっていない先の事を想定するのは 必要なことだと思うけれど、
起こるかどうかわからないことを不安に思って心配するのは、不要な気がする。
今 この目の前で出会う ひとつひとつの事を、
毎度毎度 新鮮に出会って、丁寧に楽しんでいけばいいんじゃないかと思う。
大好きなブルーハーツの「情熱の薔薇」という曲に、
『なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ なるべくいっぱい集めよう』
ってフレーズがあるんだけど、心から、そう思うよ。
大事件も、強い刺激も、欲していない。
微細な変化、ちいさな感情の動きを、じっと見つめて味わっていく。
そういう暮らしでありたい、と思うよ。
ふふふ。この雪洗いをしたことで、
いずれ雪が融けて、庭にうっすらと海のミネラルが浸透してくれたらいいなぁ。