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真冬の中に見つける春の兆し [厚田の風景]

真っ白な朝。
雪が降っているのかと思ったが、濃い霧だ。
すぐ目の前の道路や田んぼが、紗をかけたようにふんわり霞んでいる。
真っ白な雪原が霞むと、距離感がわからないなぁ。
土手の木の濃いシルエットの向こうは、谷には深く、山には淡く、霧がかかっている。
昇ってきたお日様は、霧のフィルターがかかって、朧月みたい。
墨絵みたいだ。美しい。
気温的には真冬だが、本当に立春を過ぎたあたりから、
お日様の勢いがぐんぐん上がっている感じがする。
そうか~。視界が悪くなるのは雪ばかりだった頃に比べると、
こんな風景が見られるようになったってことは、春の兆しなんだなぁ。

お日様が高くなるにつれて霞んでいた風景はどんどんクリアになる。
見慣れた雪景色ながら、気持ちのよい快晴に。
どれどれ、今日は駐車場の幅を拡げるために、
背丈を超えて積み上がった雪を少しずつ崩すことにしよう。
雪かきショベルの幅にザクッ、と挿しこみ、残りの三方にも筋をつけると、
パコッ、とブロック状に取れる。これを一番日当たりのいい道路際に移動する。
そうやって少しずつアスファルト面に向けて下へ、下へと掘り進める。
一時間くらい作業しても、自分の手を広げた分すら崩せていないが、
こうして陽が当たる面を増やしていくことで、少しでも早く雪解けを迎えたい。
今はまだ、庭の雪も窓の高さまであるけれど、
ウッドペッカーの木の周りには色々な植物が植えられていたのだ。
去年、下見に来た5月頃は確か、
わさわさジャングル状に生い茂る雑草の中に、何色ものツツジが咲いていた筈だ。
反対側の庭にも、大きく育ったオンコの木に隠れながら、
桜も咲いていた筈だ。
はじめての厚田の春はどんなだろうか。雪を崩す手にも力が入る。


きりがないのは判っているので、気が済むまで雪崩しをして適当な所でおうちに入る。
作業で汗だくだぁ、と思っていたが、
お日様の力で駐車場には所々アスファルト面が顔を出していた。
暑いのも当たり前かぁ。

コーヒーを飲みながら、ぼんやり、明るい庭の雪を見ていた。
あんなに真っ白でふんわりしていた発足の雪景色も、
良く見ればお日様にじんわり融かされて、表面が雪平鍋みたいに ぽこぽこし始めている。
まだまだ寒いけれど、
春は着実に、近づいてきてくれているんだね。


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