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2024年の始まり [厚田民としての生活]

あんなに慌ただしく雪かきをした年末が明け、
元旦は晴れ間が出たおかげでご来光を拝むことができた。
遠すぎず、近すぎずの対面に山があるこの風景は、毎朝見ても見飽きない。
移住してきた時は深い緑に覆われていたが、
冬を迎えて広葉樹は葉を落として痩せ細り、積雪した白い山肌が優勢になっている。
この山の風景がまた、雪が降るたびに木々を白く覆って、
上から粉砂糖を振ったような表情になったり、
もろもろとした綿帽子を被ったような表情になったり。
さらに降る雪の密度や霧によって視界の遠近が生まれて、一度として同じ表情がない。
ああ、もう何回も同じようなことを書いているのに、本当に飽きないよ~。
今年はどんな風景を見せてくれるのかなぁ。

ゴキゲンで階下へ下りると、

またやられた! 父の祭壇が荒らされている!
この位置なら大丈夫かと、塩や米は供えたままにしていたが、
米はすっかり無くなっている。
花も齧って小さな花瓶が倒れている。
なのに、トラップは、おとりの米が減っているのに、バケツに落ちた様子すらない。
嫌だ~、正月早々、何してくれてんのよ~!
また急遽祭壇の位置を変える。
壁を伝ってくるのか、棚から飛び乗って来るのか。
はたまた、窓が近いのでカーテンをよじ登って来ているのか?
考えられる要因をひとつずつ潰して、再度設置した。
父よ、正月早々申し訳ない。必ず何とかするよ。


1/3に自治会総会があったので顔を出してみた。
地元の方がたくさん集まるのかと思いきや、自治会役員さん+α程度の人数だった。
それでも、見知った役員さんたちに会えるのは安心する。

2023年の自治会活動と収支報告の後は、地元の情報で大笑いして、
あいかわらず肩ひじ張らないリラックスした雰囲気。
キノコのご近所さんも顔を出してらした。
去年、りっぱなタモギタケを何度もいただいたお礼をし、
「雪が多くてびっくりしているんですけど、山奥はどうですか?」と聞いてみる。
「いやぁ、まぁ、雪は多いけど、毎年のことだし」と余裕の表情。
「厚田から入ってくると、川を渡るたびに季節が進んでて、さすが里山だなぁって」
「あんたんとこなんて、ほんの入口。街中だよ、街中」と大笑い。
ま、街中でしたか。てへへ。

今年も、この方たちと、一緒に厚田で暮らしていくんだなぁ。
ご縁に、感謝。


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ネズミとの攻防 [厚田の野生生物]

翌日も、朝起きると祭壇が荒らされていた。
祭壇を棚から離して、食べ物は就寝前に片づけてみたのに。
食べる物がないと、花を食べるのだ。茎だけ散らかっていた。
それだけでなく、キッチンの高い所にあったカスベの干物の袋が床に落ちていた。
「あれ? どうして落ちているんだろう?」と拾い上げると、
袋に齧った痕と、穴が開いていた。

遅れて起きてきたダーリンに報告すると、
「おつまみに、ちびちびむしって食べようと思って作ったのに~」と悔しがった。
なんやかやと都合4回の祭壇襲撃を受けて
これはもう、駆除という選択肢に出るしかない、ということになった。

ネズミは寝静まった夜に出てきて食べ物を探したり、
壁の中でゴソゴソしているのだが、
最近は慣れてきたのか日中にも壁の中で盛んに音がするようになってきた。
そういえば、前に祭壇が荒らされた時、
「あれ?どうしてこんな所に新聞紙が?」と思ったことがあったが、
新聞紙やビニール袋などを使って巣作りをする、と読んだことがある。
複数居るような音ではないのだが、
家の中で子孫繁栄などされてはたまったものではない。

ダーリンと、ネズミ対策グッズの物色に、札幌のホームセンターへ行く。
駆除、といってもネズミ取りのカゴを置くのもなんか嫌だなぁ。
カゴの中にネズミが入っていたとして、そこからどうする?
やっぱ直接手を下さなきゃいけないんだよなぁ・・・。
かといって殺鼠剤を使うのもなんか嫌だ。
「駆除」が目的とはいえ、できればネズミがこのおうちを嫌ってくれる
「忌避」が一番なのだが、侵入を許してしまったのだからもう遅いよねぇ。
様子見、ということで粘着シート2枚入りを購入した。
今晩はネズミの通り道と思われる壁際に1枚仕掛けてから就寝することにした。


翌朝、おそるおそる居間を覗くと、祭壇は荒らされていなかった。
ああ、良かった。と思ったら、小さなヅィー、ヅィー、と音がする。
振り返ってみると、粘着シートにネズミが捉えられて鳴いているではないか!
頭から尻尾まで、体側がベッタリと粘着シートにくっついて寝ている状態。
ビックリして、「うわぁぁぁ~~!!」と声を上げてしまった。
その声にビックリしたのか、私の恐怖がネズミにも伝染したのか、
ネズミもその姿勢のまま、ギィー!ギィー!と大声で叫びだした。
私もネズミも、双方で大パニックである。
大騒ぎしながら2階にダーリンを起こしに行く。
「かかっちゃってる、かかっちゃってるぅ~~~!!」


思っていたよりネズミは大きかった。
私は小さい頃に住んでいた古い家で何度かネズミを見かけたことがある。
小学生だった私から見ても、さほど大きくなく、
ハツカネズミを一回り大きくした位(10cm強?)だったと記憶している。
こ、この子は15cm位あり、胴も太い。
「親指位の穴があれば入って来るって書いてあったけど、この大きい子でも入れるの?」
「これ、野ネズミじゃなく家ネズミだよ。でも思ってたよりデカいな」
努めて冷静に、ダーリンはネズミがくっついたまま、
粘着シートを二つ折りにして挟み、ビニール袋にいれて外へ出て行った。
事前にWebで捕えた後の処理を見ていた。
ちょっとワイルドで残酷だが、捕えたネズミを雪に埋め、上から踏んで雪を密着させる。
そのまま凍死したネズミを燃えるごみで出す、というもの。それを採用した。
ビニール袋に雪を詰め込んで、物置に置いてきたという。

ああ~。とうとう自分達で手を下してしまった。
小さいとはいえ、今まで散々虫たちを大量殺戮しているのに、今更って感じだけど。
そうしたくないのなら、今後は
何としても家の中には入りにくい環境を作るしかない。
おうちは昭和の、築50年超で後にサイディング工事などもしているが、
設計図も残っていないし、配管や配線がどうなっているのかも掴めていない。
傷みも多いし、どこもかしこもが進入路になっている可能性が高い。
けれど、こうまで雪が積もってしまってはどこから侵入しているのか探せない。
春までは、新たに入って来ないことを願うばかりだ。
どうか、どうか、こんなことが続きませんように。


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物置の雪問題 [厚田民としての生活]

物置の背後は なだらかな山裾だ。
移住前の荷物運びの頃にはもう、背丈を超える笹薮が生い茂っており、
この山裾の地形はいまでも把握できていない。
が、物置のすぐ脇から側溝に向けて、かなりの勢いで水が流れ込んでいる音がする。
音の出どころを探ろうにも、クルミと思われる枝が暴れた木と、大量の笹で
側溝が見えないまま積雪を迎えてしまった。
おそらく小さな沢筋があるのだろう。
その沢と側溝の傾斜が迫っているせいで、物置の片側の床下はけっこうな空間がある。
当初からそこには不要な角材やら鉄骨などが突っ込まれて、空間を埋めてはあった。
以前キツネが物置に入ってきたのも、おそらくその空間からだと思われ、
角材などの隙間を掻き分け、床にあいた穴から物置に入ることができたのだろう。
さらに、その傾斜がだんだん強くなってきているのか、長年の雪の重みからなのか、
窓枠が歪んで、窓を閉めても三角形の隙間ができる。
残念なことに、こちら側が冬期間の風の通り道になるので、
雪もこちら側に吹きだまるのだ。

お隣の若旦那さんが、年末にショベルローダーで除雪してくれた際に、
この屋根下も押っつけて低くしていってくれたにもかかわらず、
普段は車庫面部分しか除雪をしていないので、物置周りはすごい積雪だ。
一部が二階建てになっている大きな物置だが、
沢側に面した一階の屋根は もうすっかり埋もれて地続きになってしまった。
いいかげん物置の雪下ろしをしなければならない。


「物置、雪下ろししないと あのままじゃ潰れちゃうよ。
一度中で暖房焚くと落ちてくれるかもしれないな」と、
お隣の若旦那さんがアドバイスをくれたので、
ダーリンはポータブルストーブを持って行って焚き始めた。
とはいえ、周囲がこれでは屋根が温まっても同じ高さだと落雪しない。
軒下を少し雪かきして落ちる場所を作ることにした。

ジャジャ~ン。新兵器登場~。
昔ながらのかんじきを履いて出動するのだ~!
札幌のホームセンターに行った時、安くなっていたのだった。
「雪があるうちに原野を把握しておきたいね、スノーシューなんかがあるといいね」
なぁんて話していたのだが、実際のところ雪かきに明け暮れる今日この頃は
高くておしゃれなスノーシューより、かんじきでしょ、かんじき!
無敵な気分で物置に向かったが、
さらさら、ふわふわのまま深く積もった発足の雪は、かんじき有りでも沈む、沈む。
歩きづらいかんじきで、かつ膝上まで沈むとなると、なかなか雪かきが難しい。

ええい、今度はこれでどうだ!
野菜ケースなら底面が50×30cm位あるので、さすがに沈まないだろう。
2個の野菜ケースを交互に雪の上に投げ入れて、そこを一歩ずつ進む。
うむ。歩みは遅いが、沈まずに目的地に辿り着けた。
これもなかなか気に入った。君のことは箱かんじきと名付けよう!
1mほど積み上がった屋根の雪。私のリーチでは奥まで届かないが、
軒先部分だけでも屋根から下ろす。
お、軒下は自然に落ちた雪で圧縮されているのか少し硬いので、
かんじきだけでも沈まない足場がありそうだ。
ショベルローダーが低くしてくれたと思われる部分は、
見た目は高さがほぼ変わりないようでも、ふかふかしているので
屋根の雪を転がせば少し沈んでくれるみたい。
よ~し、あそこに向けて、どんどん投げ込むぞ~~!!

小一時間ほど作業して、すっかり体もぽかぽかだ。
全然雪下ろしは終わっていないが、
何故か謎の達成感を持って作業を終えることにした。
奥の雪はポータブルストーブ君の活躍に期待しよう。

ま、まだ1階の屋根しか手をつけてないけどね・・・。


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元の木阿弥 [厚田民としての生活]

年が明けてからは比較的晴れ間が多かった。
ダーリンは毎日毎日ポータブルストーブを持ち込んでは焚いていたが、
物置の2階の屋根に積もってしまった雪はなかなか落ちてくれない。
これだけ厚い雪だと、冬の弱いお日様では融けてくれない。
1階の屋根は下から菜園の支柱で突ついて
何か所か空気の通り道を作ったのが功を奏したのか、一気に落ちてくれた。
これに気を良くして、2階の屋根の雪に筋をつけるプランを思いつく。
私が箱かんじきを使って物置裏に行き、車庫前に待機したダーリンにロープを投げ、
この厚く積もった屋根の雪に渡す。
ロープで雪に筋をつけることができれば、雪にできた筋で融ける隙間ができて、
上からのお日様と下からの暖房で落雪しやすくなるのでは、というプランなのだ。

でも、ダーリンはこのプランは納得がいかないようで、
ひとりでロープを投げては、雪庇から徐々に落としていくプランで始めた。
この辺の採用方法の違いは ちょくちょくあるので、口を出さずに見守る。
屋根からせり出した雪庇がバサッ、バサッとうまいこと落ちたが、
そのうちに凍った部分に刺さってロープが動かなくなり、プツンと切れてしまった。
あ~。ダーリン、嫌んなっちゃってる。
というわけで、下からのアプローチは諦めて、
物置で頻繁に暖房を焚くプランに切り替えることにした。
2日ほど この暖房プランで雪下ろしを試みたが、お日様の後押しを受けても
屋根から10cmほど せり出しただけで、2階の屋根の雪はちっとも落ちなかった。

ていうか、せり出した雪の底面はカチカチに凍っており、
暖房とお日様で少しは屋根の接地面が融けるものの、それが凍る勢いの方が強くて、
「雪の塊」から「氷に載った雪の塊」に変化してきてしまっているかも。
う~む。ちょっと怖いが、屋根に上って雪下ろしするしか方法はなさそうだなぁ。


その夜からまた雪が降り出した。
一晩で30cm降った。
せっかく一掃できた物置の1階屋根にも、しっかり積もってしまった。
元の木阿弥。
この冬の間、これを何回か繰り返すんだろうなぁ。
・・・雪が落ち着く日を狙って、また頑張るとするか。


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雪国気分で雪下ろし [厚田民としての生活]

2日後にも30cmの降雪。
ああ、どうしよう。物置の屋根雪はどんどん積み上がる。
ちょっと晴れ間があっても積もった雪が圧縮されるだけで、事態はどんどん悪化していく。
もう暖房で下から融かして落とすのは悪手だ。
すっきりしたはずの1階の屋根も、落ちずにつっかえている。
屋根雪が滑り落ちるようにスロープを付けたつもりだったが、全然甘かった。

そんな折、お隣の若旦那がまたショベルローダーでやってきてくれた。
前回と同じように建物際ぎりぎりまで削って、落雪スペースを作ってくれたが、
「これ以上になると、物置に繋がっている電線に引っかかるので
早めに対処した方がいいよ」とアドバイス。
うむ。そろそろ重い腰を上げるか。

ダーリンと二人、出動する。
私はお気に入りの かんじきを装着して、裏にまわれるようにしよう。
屋根から落ちた雪をさらに遠くに落として今後の雪に備えるのだ。
1階の屋根に脚立を立てて、ダーリンは2階の屋根に上る。
「うわー、結構高い。なかなか怖いぞ~」
申し訳ない、私はきっと上れない。1階の屋根を担当するよ。
ガッチリ締まった雪がダーリンの腰の高さまである。
まずは自分の立ち位置の雪下ろしをして、徐々に雪下ろしのスペースを広げていく。
「屋根の接地面が凍ってて固い!」
足元が危うい上に手強いようだ。軒先までは遠い。
頑張っているダーリンに報いなければ!
私もリーチが届かない1階の奥に手をつけようと、屋根に足を掛けた途端、
ズルッと滑って、ガン、と屋根に突っ伏す。
しまった! かんじき履いたままトタン屋根に足をかけちゃった。滑って当たり前だぁ。

「だ~か~ら~。BERAは無理しないの!」と指導が入る。
とほほ。なんか役に立ってない私。
仕方ないので、1階屋根の軒先が済んだら、
隣りの若旦那さんが作ってくれた除雪跡にせっせと落とす。
それにしてもすごいなぁ。
2m超のイタドリが物置裏に密生していたのに、雪でぜ~んぶ隠れてしまったんだなぁ。

物置の前にまわって、下から見上げてみると、
ダーリンは肩口から上しか見えない。おー。まるで雪国の雪下ろし風景だなぁ。
「そろそろ軒先に近くなってきたから気を付けてね~」と声を掛ける。
軒先の雪庇部分を下から突いてみたが、ガッチガチに凍っているので、
これを無理やり崩そうとするのはかえって危険とみた。
軒先から1mくらいを残して、今回の作業は一旦終了。


途中、通りかかった地元の方々が、車の中から笑顔で会釈してくれる。
「お~、新入りさんたち、やってる、やってる(笑)」って感じなのかなぁ。

いつも中途半端で作業が終わってる感じがするが、
まぁ、一年目の様子見、様子見。
無理はしないんだ~。


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父の五十日祭で思い出したこと [父の介護]

なんだかんだ雪や寒さでオタオタしているうちに、日々は過ぎていく。
1/22が父の五十日祭(仏式でいうところの四十九日)だ。
あっと言う間だったなぁ。

父の介護のために一時札幌に住む、と言っていた姉だが、
思わぬ急展開で父が逝ってしまって、札幌移住は一旦流れた。
が、これから五十日祭・百日祭・納骨を控えて
何度も名古屋と往復するのではなく、雪が降るまでの一時移住を決めた、と連絡が来た。
ウィークリーマンションを月単位で契約したらしい。
そんな訳で、父の残した荷物のうち、姉が使えそうな物を届けることになった。


姉用の荷物を積んで、札幌に向かう。
合流したら、お供えを調達して、神社さんへ向かう手筈だ。
札幌はやはり雪が少ないが、捨てる所がないので住宅地は道路脇の雪が高く積み上がり、
道幅も狭くて走りにくい。
姉のウィークリーマンションには駐車場がなく、停車スペースもない。
人様の駐車場入口を塞いだ上に、
道路にはみ出して停車しながら作業するのはヒヤヒヤもんである。
改めて、札幌は違う意味で大変だなぁと思う。
姉が来たとはいえ、厚田の冬は大荒れで今まで以上に往復するのが苦になるし、
札幌の道路事情や駐車場のことを考えると、
これからは そうそう札幌に来ることはないだろうなぁ。


神社で五十日祭を執り行い、姉の住まいの近隣で一緒にお昼を食べる。
「お父さんの最期は、天晴れだったよ」と姉は言う。
「病院でろくに会えないままじゃなく老健に移るまで頑張ってくれたし、
好きなことして、思う存分生きて、老健で切り崩すことになる貯えも、
ちょうど葬式や式年祭の分だけ残して。
残った身内で争うような遺産もなく、きっちり使いきってさ」
本当にそうだ。病院や老健のはからいもあったろうけど、
1週間後に亡くなるのに、ちゃんと老健に移れる状態で持ちこたえてくれたよなぁ。
「会うべき人に会ってから、見計らったように逝ったもんね」
「何より天晴れなのが、パッと上がって行った事だよ」


ここでちょっと不思議な話。
姉は、いわゆる霊感的なものがちょっと有って、
何かがついてきちゃったり、何かが見えちゃったりすることがあるらしい。
母が亡くなった後は、しばらく母の気配があったそうだ。
「でも、お父さんは全然だった。スパーンと上がって行ったと思うよ」
そうかー。そうなんだー。
私はそんなの全然感じないからなぁ。スパーンと、かぁ。

そして思い出したことがひとつ。
父も母もまだ全然元気だったころ、姉の家で食事してワイワイ話していた時のこと。
「やっぱり、死ぬときはピンピンコロリがいいよね」
「でもさ、いきなり急死だと、心の準備ができないからさ。家族のためにも
長患いせずに一週間くらいの猶予期間、てのが理想だよね」
「おお、じゃあ死ぬときは一週間だな」なぁんて、
皆でワハハ、ワハハと笑いながら話していたんだった。

父ったら、会えるようになってからぴったり一週間で。
ああ、気付かなかったよ。
あの時の、軽口たたいた約束通りだったんだね。
天晴れだよ、お父さん。


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姉のアクシデント

父の五十日祭の翌日。
姉にとっては転居の翌日でもある。
陽が暮れてからメールが入っていたようだ。21時過ぎまで気づかなかった。

え! 地下鉄に入る入口で転倒して骨折しただと!
とりあえず応急処置して、連絡がついた友人が助っ人に来てくれたとのこと。
明日大きな病院で診てもらうとか。
ど、どういうこと? 入院はしてないの?
自分が骨折した時ののことを思い出す。
私の時は病院に行って、そのまま帰宅できず入院しちゃったんだけど、
姉の状況は違うのか?
明日大きな病院で、って、帰宅したってこと?
それとも応急処置した病院に居て、明日転院するってこと?
なんか混乱して情報が頭に入って来ない。
2通目のメールで、入院準備や手術承諾書の手続きあるから
札幌の姉の家に何泊かして動いてほしいとの要請。

折しも厚田は暴風雪警報。
ダーリンは明日、浜のお手伝いの声がかかっているので車は使えない。
あー、なんか八方塞がり。
地域バスと路線バスを乗り継いで、最速で10時半頃には札幌に着けるかな。
私の時は入院しても手術が4日後だったっけ。
痛いまま、びっくりするほど腫れたまま、4日間過ごしたんだよなぁ。
 骨折時の拙ブログ:https://hone-ori-doku.blog.ss-blog.jp/archive/c2304418485-1

今、すごく痛くて、不安だろうなぁ。


いやはや。
日々、アクシデントって起こるもんなんだなぁ。


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暴風雪の不慣れな土地を彷徨う

早朝、不在中のゴミ出しやら雑事をお願いして、ダーリンを送り出した後、
地域バスを使って厚田支所前まで行き、対向車線側の札幌行路線バスに乗る。
暴風雪警報が出ているが、今朝の厚田は快晴だ。
車窓から見渡す海は、サーファーなら大喜びしそうな、長い大きな波が
何層にもなって押し寄せてきている。
同じ荒れた海でも、長い大きな波には独特のリズムとうねりがあって、
まるで地球が呼吸しているのを見ているみたいだ。
激しいけど、とても美しく、感動的ですらある。

札幌に近づくにつれ、だんだん雪模様になってきた。
いつもながら、厚田と札幌は全然天気が違う。市内に入ると吹雪だった。
最寄りのバス停は石狩街道沿い、姉の家は地下鉄沿線。
遠くはないが、吹雪の中を大荷物で歩くのはちょっと辛い距離だ。
一時間半のバス移動でトイレにも行きたかったので、途中の地下鉄駅に寄った。
せっかく吹雪を避けられる地下に下りたのだから、姉の家のできるだけ近くまで
地下を通って行こう、と思い立つ。
住所表示を確認しつつ、ここだ、と思って上がった所は全然近くなかった。
もう一度地下に入り、迷いながらもまた上がると、
少しは近くなったが、思った所でもなかった。
もう大荷物で階段の上り下りは嫌だ、とそこからは吹雪の中を歩く。

寄り道・迷い道の末やっと姉のウィークリーマンションに着く。
インターホンを押しても反応が無い。
足を引きずって移動するのに時間がかかっているのか?
もしかして、痛みで唸って起き上がれないのか?
どうしよう。起き上がれずに苦しんでいるのかも、と思うとパニックになった。
インターホン前で困っていると管理人さんが現れてエントランスに入れてくれた。

姉が一昨日からお世話になっているお礼と、骨折した旨を話すと、
「お姉さんはご不在だと思いますよ。付き添いの方と病院に行かれたんだと思います」
え? 不在?
昨日友人が動いてくれたと言っていたから、昨日は病院から連絡してきていたのか?
自分の中の情報の整合性がとれず、パニックになる。
とはいえ、2日分の宿泊用品・引越時に見落とした姉の食器とでの大荷物は
移動が大変すぎる。
管理人さんは合鍵がないので、姉の部屋のパイプスペースの鍵を開けて
そこに荷物を突っ込ませていただくことにした。

とりあえず姉にメールだ。
今は隣の地下鉄駅が最寄りの、整形外科で診察待ちをしているという。
情報パニックで頭に入らなかった昨日のメールで、「10時半なら付き添える」と
申し出てくれた別の友人が居たことが、今なら読み取れる。
その方が今、病院に連れて行ってくれているらしい。
まずは、その病院を目指せばいいんだな。

吹雪の中、不慣れな土地で見たこともない病院に向かうのは
方向音痴の私にはハードルが高い。
幹線道路も近いことだし、とにかくタクシーだ、タクシー。
予約電話が繋がらない。
父や母の介護時にタクシー会社の電話番号は数多く登録しておいたが、どれも繋がらない。
悪天候だからか、アプリ全盛のご時世だからか、はたまた人手不足だからか。
ええい、幹線道路を隣駅に向かって歩きながら、流しのタクシーを拾おう。

通行人に隣駅の方角を聞いて確かめてから、歩き出す。
交通量は多いのに、タクシーが居ない。
歩道と車道の間にうず高く積まれた雪の壁がジャマをして、目の前に来るまで車が見えない。
見つけた、と思っても反対車線。
焦りながらも、とにかく前へ、と吹雪の中をどんどん先へ進む。
ああ、拾えないまま、もう隣駅が目の前だ。
ここから先はタクシーを諦め、姉のメールの案内を頼りに病院を目指す。
どこを歩いているのか全くわからないまま、なんとか病院に辿り着く。


友人の付き添いもあってか、姉は心細そうな顔はしていなかった。良かった。
仕事を抜けて付き添って下さっていた友人から 姉の付き添いを引き継ぎ、
診察室に入った姉を待つ。
ああ、ここ何年か、母を、父を、
ずっとこうして診察室で待つ日々の繰り返しだったなぁ。
終わったと思ったけど、ワハハハ、今度は姉か。


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猛吹雪の札幌

今年の札幌は雪がドカッといちどきに降るらしく、除雪状況は芳しくない。
車道も走りにくいが、歩行者に優しくない道路状況なせいか、
転倒・骨折で救急搬送される人がとても多いらしい。
姉も最初に救急搬送予定だったのが近所の大きな病院だったが、
2床空いていると言われた搬送中に、もうベッドの空きがなくなってしまい、
別の区の病院に運ばれて応急処置だけされて家に戻ったという。
今診察してもらっているこの病院は個室しか空いていないものの、
とりあえずこのまま入院でき、手術も明日行えるとのことで、無事収まることができた。

入院に当たっての説明、承諾書などの書類の手続きをして、
必要なものを持ってくるために一旦姉の家に戻ることにする。
姉から、病院最寄の地下鉄駅近辺にダイソーがあるから、
そこで色々調達すると良い、と言われたものの、
見知らぬ土地でそれがどこにあるのかも全くわからない。
調べようにも、私はスマホじゃないし、姉の家も転居したばかりでネット環境が無い。
さぁ、困った。
うん、土地勘を得るには自分の足で探すしかないな。
来た道を、ちゃんと周囲を把握しながら帰ることにしよう。

吹雪の中、方向音痴の私でも判断できるように、いくつかの目印の建物と
その位置関係を確認。よし、これで地下からぽっと出ても方向はわかるぞ。
地下鉄直結の大型スーパーがある。うん、この先にドラッグストアもある。
大体の用事が足せそうな店の位置もわかった。
姉の家にもまだ入っていないので、とりあえずのご飯にと思い、
スーパーの弁当を買って戻った。


引っ越したばかりの姉の家。
まだモノが少なく、スッキリしている。
それでも、入院生活に必要な物を揃えるのは勝手がわからず、
家探ししてるみたいなのも居心地が悪い。
冷蔵庫の中は、そこそこ食材が入っている。入院中に賞味期限が切れる物は
食べきってほしいと言われたが、盗み食いでもするようで抵抗がある。
使ったことの無い暖房器具、見知らぬ家財道具。
ああ、なんか引っ越し先の家でオドオドと臭いを嗅いで尻尾を巻いている犬の気分。
私はきっと、家政婦とか、別荘の留守番とかは絶対無理な人なんだなぁと思った。

入院生活に足りない物も把握できたので、残りを隣駅の100円ショップで調達し、
姉の病院に届ける。個室なので入室することもでき、顔を見ることができた。
コロナ対策で、相変わらずどこの病院も面会に制限があるんだよね~。
院内用の上履きが調達できず、院内の売店の閉店までに戻れなかったので、
「ごめん、明日ドラッグストアとか探してみるよ」と言って病院を後にする。


陽が暮れても札幌はずっと吹雪だ。
窓から外を覗くと、真横に吹雪いている。
時折突風が吹いて、窓枠がきしむ音がするので、ビクつきながら過ごす。
姉は明朝手術なんだな。
痛みに耐えながら、姉も心細い夜を過ごしているのだろうか。


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なんだか裏目に出てる

翌日も吹雪だった。
窓から外を見ると、近くの建物だけが書割のように浮かび、
その向こうは何も無いかのように真っ白になるほど、雪の密度も風の強さも凄い。
手術前に姉からメールが来た。
引越時に破損して届いた宅配便を戻してくるので、在宅して受け取るようにとのこと。
早い時間に宅配便が来て、受け取ったが、
破損の謝罪があるわけでもなく、普通に「受取印は不要です」と帰って行った。
なんだか納得できないまま荷物を見ると、姪から姉宛の送り状が貼ってある。
「あれ? 普通の宅配便だったのかな?」と混乱する。
姉は手術を終えて麻酔で眠っている頃だろう。午後にメールで聞いてみよう。

姉の冷蔵庫から賞味期限の迫ったものを探し、朝食を摂る。
期限間近のヨーグルトがあるので消費しなければならないが、
私はあまりヨーグルトは食べない(食べるとむしろお腹を壊しやすい)ので
何か調理に使って消費することにした。
半分位は水切りヨーグルトにしてパンに塗れるチーズ風ペーストにしようか。
残りは、姉が帰宅後に焼くだけ簡単調理で済むようタンドリーチキンを仕込もう。
父の五十日祭のお供えフルーツも一部傷みが出てきているので、剥いて冷凍しようか。
食器を洗いながら、ふきんを干す場所がないな、とか
引越直後の不便な点が色々目についてきた。
姉が戻って来る前に少し整えておいてあげたいな。
面会の帰り道に細々したものを調達しておこうか。


午後になって麻酔が醒めたかな、と思いメールする。
受け取った荷物は破損品だったようだ。
手術時に麻酔の管を入れていたので喉が痛い、飴を買ってきてほしいとのリクエスト。
院内の上履きと飴は必要なので吹雪が落ち着いた頃合いに買物に出よう。
明日は私も一旦厚田に戻りたいので、帰りのバス停も明るいうちに確認しておきたい。
面会で隣駅に行く前に、姉の家の最寄駅近辺を把握するためちょっと外出。
厚田行きの路線バスは往路と復路が少しルートが違う。
乗り遅れれば次が1時間後なので、バス停を確認しておく。
できるだけ吹雪の中を歩かなくていいように、地下鉄に下りては
周辺地図を確認し、また外に出て、を何回か繰り返す。
地下鉄直結でスーパーがあったんだね。タンドリーチキンの材料を調達できた。


姉からメール。
看護師さんが院内の売店で上履きと飴を買ってきてくれたとのこと。
大雪の中わざわざ来なくてもいいよと言ってくれた。
後でいいけど、郵便局に転送届を出すのと、ネット環境の契約をしてほしい、とも。
そういえば、あちこちウロウロしたけど、郵便局はノーマークだったな。
また地下鉄駅に行って、周辺地図で近隣の郵便局を探す。
あ、幹線道路沿いじゃないので見つけられなかったけど、以外と近所にあった。
さて、大型スーパーや100円ショップで必要なものを調達しに、隣駅へ行こう。

う~ん、色々揃っている駅だけど、回線キャリアのショップは無いみたいだな。
何を調べるにも外出しなければならない状況は早く解決してあげなきゃな。
これは、厚田に戻ってからネットで調べることにしよう。
100円ショップで突っ張り棒を調達しようと思ったが、
耐荷重が少なすぎて役立たなそう。大型スーパーに手ごろな物が有って良かった。
退院後、部屋の中で動くのも大変だった自分の状況を思い出すと、
あれこれ思い悩み時間がかかってしまった。すっかり暗くなってから姉の家に戻る。


いや~、なかなかの吹雪だった。風が強いので、雪がつぶてになって痛かった~。
姉は手術後の痛みで唸っているかもしれないなぁ。
郵便局も近くにあったよ~とメールしてみた。
『大雪の中外出して転倒したらまずい。お願いだから外出しないで。
家にあるもので食べてちょうだい』と返答。
けが人に心配させちゃったなぁ、と申し訳なく思いつつも、
自分のご飯のために外出した訳じゃないのになぁとちょっと悲しくなる。
メールって、相手の感情がよくわからない。
でも、文面からイライラが伝わってくるようで、怖い。
荷物の受取の報告も、外出の報告も、却って怒られてしまったようで
なんだかモヤモヤが残った。
やることなすこと、なんか裏目に出てる。


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