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暴風雪の不慣れな土地を彷徨う

早朝、不在中のゴミ出しやら雑事をお願いして、ダーリンを送り出した後、
地域バスを使って厚田支所前まで行き、対向車線側の札幌行路線バスに乗る。
暴風雪警報が出ているが、今朝の厚田は快晴だ。
車窓から見渡す海は、サーファーなら大喜びしそうな、長い大きな波が
何層にもなって押し寄せてきている。
同じ荒れた海でも、長い大きな波には独特のリズムとうねりがあって、
まるで地球が呼吸しているのを見ているみたいだ。
激しいけど、とても美しく、感動的ですらある。

札幌に近づくにつれ、だんだん雪模様になってきた。
いつもながら、厚田と札幌は全然天気が違う。市内に入ると吹雪だった。
最寄りのバス停は石狩街道沿い、姉の家は地下鉄沿線。
遠くはないが、吹雪の中を大荷物で歩くのはちょっと辛い距離だ。
一時間半のバス移動でトイレにも行きたかったので、途中の地下鉄駅に寄った。
せっかく吹雪を避けられる地下に下りたのだから、姉の家のできるだけ近くまで
地下を通って行こう、と思い立つ。
住所表示を確認しつつ、ここだ、と思って上がった所は全然近くなかった。
もう一度地下に入り、迷いながらもまた上がると、
少しは近くなったが、思った所でもなかった。
もう大荷物で階段の上り下りは嫌だ、とそこからは吹雪の中を歩く。

寄り道・迷い道の末やっと姉のウィークリーマンションに着く。
インターホンを押しても反応が無い。
足を引きずって移動するのに時間がかかっているのか?
もしかして、痛みで唸って起き上がれないのか?
どうしよう。起き上がれずに苦しんでいるのかも、と思うとパニックになった。
インターホン前で困っていると管理人さんが現れてエントランスに入れてくれた。

姉が一昨日からお世話になっているお礼と、骨折した旨を話すと、
「お姉さんはご不在だと思いますよ。付き添いの方と病院に行かれたんだと思います」
え? 不在?
昨日友人が動いてくれたと言っていたから、昨日は病院から連絡してきていたのか?
自分の中の情報の整合性がとれず、パニックになる。
とはいえ、2日分の宿泊用品・引越時に見落とした姉の食器とでの大荷物は
移動が大変すぎる。
管理人さんは合鍵がないので、姉の部屋のパイプスペースの鍵を開けて
そこに荷物を突っ込ませていただくことにした。

とりあえず姉にメールだ。
今は隣の地下鉄駅が最寄りの、整形外科で診察待ちをしているという。
情報パニックで頭に入らなかった昨日のメールで、「10時半なら付き添える」と
申し出てくれた別の友人が居たことが、今なら読み取れる。
その方が今、病院に連れて行ってくれているらしい。
まずは、その病院を目指せばいいんだな。

吹雪の中、不慣れな土地で見たこともない病院に向かうのは
方向音痴の私にはハードルが高い。
幹線道路も近いことだし、とにかくタクシーだ、タクシー。
予約電話が繋がらない。
父や母の介護時にタクシー会社の電話番号は数多く登録しておいたが、どれも繋がらない。
悪天候だからか、アプリ全盛のご時世だからか、はたまた人手不足だからか。
ええい、幹線道路を隣駅に向かって歩きながら、流しのタクシーを拾おう。

通行人に隣駅の方角を聞いて確かめてから、歩き出す。
交通量は多いのに、タクシーが居ない。
歩道と車道の間にうず高く積まれた雪の壁がジャマをして、目の前に来るまで車が見えない。
見つけた、と思っても反対車線。
焦りながらも、とにかく前へ、と吹雪の中をどんどん先へ進む。
ああ、拾えないまま、もう隣駅が目の前だ。
ここから先はタクシーを諦め、姉のメールの案内を頼りに病院を目指す。
どこを歩いているのか全くわからないまま、なんとか病院に辿り着く。


友人の付き添いもあってか、姉は心細そうな顔はしていなかった。良かった。
仕事を抜けて付き添って下さっていた友人から 姉の付き添いを引き継ぎ、
診察室に入った姉を待つ。
ああ、ここ何年か、母を、父を、
ずっとこうして診察室で待つ日々の繰り返しだったなぁ。
終わったと思ったけど、ワハハハ、今度は姉か。


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