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厚田の冬の始まり [厚田の風景]

しばらく更新が開いてしまった。
父の最期の頃を思い出そうとしても、一行程度のメモしか残していないし、
記憶も時系列も、頭の中がごちゃごちゃだ。
どうしても筆が重くなってしまうので、気分が持ち直すまで
11月の厚田生活について、つらつらと書いていこう。

姉の滞在中に、初めて一面の雪景色になった。
「雪かきアクティビティ~」とか言いつつ姉にも体よく雪かきを手伝って貰った。
銀世界になってしまったので、ビニールトンネルの下で頑張っていた小カブも
直径3cm程度で収穫して終了、とあいなった。
初除雪車出動も11月だった。
すごいのは、その速度。殆ど普通車と変わらない速度でガァーッと通り過ぎていく。
都会の札幌と違って、民家は多くないし、必ず駐車場があって道路から奥まっているので
高速除雪でガァーッと薄く飛ばして行くのだ。
結構マメに除雪が入ってくれて、札幌の住宅街の除排雪が難しい場所よりも
ずっとずっと走りやすい道路になってくれる。

父がらみで札幌通いをしていたある日の帰り道。
札幌は晴れていたものの、石狩川を渡ると例のごとく雲行きが怪しくなってきた。
まだ陽は沈んでいなかったものの、
望来、古潭、と進むうちに積雪状態になり、
あたりが薄暗くなってきた頃にやっと厚田に戻った。
厚田から道道月形厚田線に曲がるとすぐ目に入る、
「夜間は除雪しません」という標識がいつも気にはなっていたが、
その意味が今回わかった。
夕方以降に降る雪は、除雪が入らず朝までただただ降り積もる、ということだ。
発足までの道はふかふかとした雪が15cmほど積もっており、
前に走ったであろう車の轍もふんわりなだらかに覆われていた。
夕刻になってからは地元の人は外出していないのだろうことが簡単に想像できた。
おうちに着くと、駐車場はそのまま入れないほどの状態になっていた。
長靴など履いていなかったので、ズボズボ埋まりながら、おうちに入り、
ステーションワゴン君はその日から物置車庫に収まることとなった。

すでにストーブは稼働していたが、夜は焚きっ放しになった。
お気に入りの当別のノルトエッセンさんのパンも雪が融けるまでの冬季休業に入る。
ダーリンのお仕事も、飲食店は秋口までで、
寒くなってからは漁で揚がった魚の網外しのお手伝いをたまにするくらい。


僕らの厚田生活は、すっかり冬籠り体制に入った。
何より、発足は穏やかであっても、厚田の海沿いは「降る=吹雪く」ようになった。
1階の窓が隠れてしまうほど積もるという、発足の冬。
お手柔らかに、と思いつつも、初めての冬に畏れ半分、躍る心半分。
いよいよ冬の始まりだ。


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美しい雪 [厚田の風景]

アスファルトに積もった雪はすぐ融けるが、野山や田畑の雪は白いまま。
雪が降るたびに、棚田のように段差がある田んぼも少しずつ段差が目立たなくなっていき、
今はほぼ、なだらかな雪原になった。
山の木々に積もる雪は、朝は粉砂糖をかけたように可愛らしく化粧をし、
陽が高くなるにつれ枯れ色に戻ることを繰り返す。
時間によって山の色も、空の色もどんどん変化していくのが
毎日見ていても、本当に見飽きない。

朝起きると、15cmほど雪が積もっていた。
札幌に居た頃は「わぁ、15cmも降った!」と大騒ぎしていたが、
冬の始まりでしかない今でも、「発足の通常運転」と思うようになった。

関節炎持ちの私でも、柄を握るだけの雪かき作業はまったく痛くないので、
雪かきは苦にならない。
ひざ下まで高さのある長靴を買ってからは、ちょっと深い雪もへっちゃらだ。
というわけで、今日もわしわしと雪かきを始める。
雪の晴れ間で、目つぶしを喰らうほどの眩しさの中、スコップを動かすと、
積もった雪の奥が、青い!
おお!? 映像で見たことがある、氷河が崩れる面のあの青さだ!
ここは氷河ですか!?
うわ~、もうこうなるとスコップを刺すだけで楽しい。
なんで、こんなに美しいんだろう!?
札幌で雪かきしてもこんな色を見たことが無い気がするが、何が違うのかな。


すっかりキレイに雪かきが終わったが、2台分の駐車場はなかなか作業量が多い。
ほかほか蒸気が上がりそうなくらい汗びっしょりだ。
庭木の冬囲いは簡単に縄でくくろうか、なんて思っていたが、
数回の雪で、あっという間に庭は雪深くなってしまい、背の低いツツジたちは
こんもりしてはいるものの、すっかり埋まってしまった。
ウッドペッカーの庭木は根元だけ積雪がないが、
枝が雪の重さで折れてしまわないように枝下を雪で支えてみようかと思い
根元を覆うように雪を放りこんでみた。
でも、このプランは駐車場から庭木までの距離を雪かきしなければならないし、
枝が傘になって根元は雪が積もらないので、どんどんウッドペッカーの周囲が
高くなっていき、放り込めなくなってきてしまった。
けっこう無理があるプランだと気づく。仕方ないが積もりっぱなしで冬越しをしよう。

裏の原野の笹も随分低くなったなぁ。
このまま全部覆われて、ずんずん窓を塞ぐまで積もっていくのかしら。
雪原に立つ白樺の幹が美しい。
枯れ色の暗い風景だったのが、雪景色になるだけでこんなに美しいのかぁ。
厚田に住んで、毎日この風景が見られるって、
凄く贅沢だなぁ。

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今年最後のノルトエッセン [厚田の風景]

冬季休業に入る前に、ノルトエッセンさんにパンを買いに行くことにした。
山ひとつ越えた当別は、どんな風景なんだろう。
道道月形厚田線の道路状況はどんなだろう。
ちょっと探索をかねて走ってみようね。

今朝も雪はわしわし降っていた。
おうちから見渡せる発足の山々は、木々にこんもり積もった雪で
稜線が白くぽこぽことしていた。
まださほど気温が低くないので、着雪しやすい湿り気のある雪だということがわかる。
峠道はしっかり除雪されていた。除雪隊のみなさん、ありがとう~!
とはいえ、登るにつれて積雪量は平地に比べて少しずつ深くなってくる。
木々にはもろもろと団子状に雪がくっついて、寒そうに立っている。
あれ、この風景、まるで樹氷みたい。
「いやぁ~、さすが本場八甲田の樹氷はキレイですなぁ」
「ここは厚田ですからっ」とお決まりのボケツッコミをしながら、当別側に下りた。

峠は発足より幾分雪深かったが、下りてみると当別側も発足と同じくらいの積雪量だ。
ふくろう湖に続く山あいの道沿いは、白く柔らかく雪に覆われて
晩秋の色に比べるとなんだか優しい表情だ。
市街地に向かう平地になると、同じ雪景色でも厚田と比べるとなんだか穏やかな表情。
やっぱり内陸なんだなぁ。厚田だと海に近づくほどに、地形も木々の様子も
なんとなく荒々しさが感じられるんだよな。強い風のせいなのかな。
厚田のそんな風景が大好きで、毎日新鮮に「キレイだなぁ」と感動しているのだが、
盆地育ちの私としては、当別の内陸らしい風景もなんだか落ち着く。


ノルトエッセンさんに着く。
発足よりは積雪が少ないが、もうお庭はあちこち雪に覆われていた。
きっと今年最後の訪問になるだろうから、
パンを買うだけでなくカフェで休ませてもらおう。
「山向こうは雪はどうなのかしら」
「あ、この間、初除雪車が走りましたよ」
「まぁ! やっぱり向こうの方が雪が多いのかしらね。こっちはまだだもの」
なんて話しながらコーヒーを淹れていただき庭に面した大きな窓の前に座る。
ポータブルストーブに火を入れてくれると、おとなしく潜んでいたカメムシが
どこからともなく2匹、這い出てくる。
あれあれ、あんたたちもコーヒータイムに参加したいのかい。
ふと見ると、お店の隅の床に「カメムシぽっとん」が置いてあった。
ここのような樹脂サッシだと虫の侵入が少ないんじゃないかと憧れていたのだが、
やっぱ、背後に山がある場所は同じなんだなぁ、と諦めのような、安心したような気分。

窓の外のウッドデッキにシジュウカラが来る。
ガラス越しだとこんな近くに見ることができるんだなぁ。グレーの羽色が凄くキレイだ。
動物やら虫やらの話になる。
「この屋根の上をシカが歩いてたこともあるのよ」
ひょえ~。
この建物は山裾の斜面を背後に控えているから、雪が降ったりすると飛び移れるのか。
自分たちのおうちはどうだろうか。周囲はぐるりと平たくなっているから、
さすがにおうちの屋根の上を歩くことはないだろう。・・・いや待てよ、
窓を塞ぐほど積雪があるとすれば、1階の屋根なんて簡単に歩けるのでは?
里山移住の大先輩でもあるノルトエッセンさんのお話は面白かった。

夕刻にお店で今年最後のライブがあるそうで、
店主さんも奥から出てきて席の準備が始まった。
ずっと買いたかったいちじくのパンも買うことができて、
シアワセな気持ちでお暇した。
春まではここのパンともしばしのお別れだけど、
これも春を待つひとつの楽しみになるね。


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猛吹雪の石狩湾 [厚田の風景]

キーンと冷えた朝。
ダーリンが網外しのお手伝いに行く前に、バス停まで送ってもらう。
道の駅あいろーど厚田は札幌行きの路線バスの始発点だ。
駐車場は日中に融けた雪が凍って、踏むとバリバリ、ガリガリと音を立てる。
「厚田に着く時間が決まったらメールするから迎えに来てね~」と別れる。
始発からは私一人、厚田市街地の二つのバス停からはそれぞれ2人ずつ乗車して、
スカスカの車内は暖房が入っていても うすら寒い。

もう陽が出ているはずだが、すぐ東側が山なのでまだ薄暗さが残り、
アスファルト面が出ている道路も、風に煽られた雪がサァーッと渡っていくのが寒々しい。
西側に石狩湾を臨みながら進んでゆくが、夏の緑がかった色ではなく、鉛色の海。
白い波頭が沖までひょこひょこと見え隠れするので、時化ているのだろう。
石狩市街に近づくにつれて、通勤・通学の人がどんどん乗り込んできて、
車内も混んでいき、窓ガラスが曇って外が見えない。
石狩川を渡ると天気がガラッと変わるのはいつものことながら、
札幌に近づくにつれて雪が降ってきた。


今日はスケジュールは
・病院に病衣の返却と、併設の歯科の支払い
・施設の部屋の明け渡し
・複数の銀行口座の残高を、引き落とし専用口座に一本化
・区役所での各種手続き、
・父の携帯電話の解約、おうちWi-Fiの機器についてショップで相談
など細かな用事が目白押し。
車があるよりも地下鉄で機動的に動く方が便利だったので、好都合だ。
ただ、札幌は湿った雪がずっと降っているので、屋外の移動のたびに
ベチャベチャに濡れるのが不快で、濡れると冷えるのがちょっと大変。
ただ、札幌は厚田に比べて2℃くらい気温が高い感じでかなり暖かかった。

無事用事を終えて父の面会に行く。
弱々しいながらも、これする?あれする?と聞くと手で○や×を示してくれる。
もう声を出すことはできないものの、意思疎通ができるのは嬉しい。
喉が渇くというので看護師さんに相談すると、ガーゼに水を含ませて吸わせてくれた。
ひとりでは寝返りも打てない身体なのに、
必死に看護師さんの腕にすがりついて赤子のように水分を吸う横顔。
その渇望が胸に迫ってなんだか改めてショックを受ける。
2時間ほど父の傍にいた後、「明日お姉ちゃんが札幌に着くよ」と言い残して帰る。


17時になる前になんとかバスに乗り込む。結構混んでいたが、
石狩市街までで大半の人が降車していった。
札幌から出ても雪が止まないどころか、海岸が近くなると更に強く吹雪くようになった。
石狩川河口付近の八幡あたりが猛吹雪のピークだった。
強い風に煽られて、バスが横揺れする。真っ暗な窓の外は、雹のような荒い粒の雪が
進行方向と並行に真横に線を描く。雷も光った。
視界も悪い中、バスの運転手さんは淡々と先に進んでゆく。
怖くないのかなぁ、と思いつつ、照明で明るい車内は
それだけで少し恐怖心が薄らぐんだなぁと乗用車との違いを感じていた。

集落ごとにひとりずつ降車していき、終点に着いた時は私一人だけの貸切状態だった。
「暴風雪警報が出ているよ」と心配してメールをくれていたダーリンが
暗い駐車場で待ってくれていた。
やっと帰って来れた。こんな嵐だけど、厚田に帰ってくるとほっとする。
頻繁に往復していても、もう札幌はホームタウンではなくなったんだなぁ。


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発足は穏やかで美しい [厚田の風景]

翌日も発足の雪はしんしんと降り続けた。
二日目の朝も降り止まないので、起き抜けと昼前、2回雪かきをした。
1月下旬の、空の底が抜けたような豪雪はその後なく、
淡々と、静かに雪嵩を増していく。
気が付けば、また屋根からの落雪が突っかえている。
午後になって時々晴れ間が覗くようになってきた。雪も一段落かな。

お気に入りの箱かんじき(ただの野菜ケース)を携えて、
今度は背丈ほど積もった雪壁を乗り越え、突っかえた屋根雪を崩しに出る。
ガリガリに固くなる前に崩すのは、軽くてサクサク進むのが何とも楽しい。
ついでに、じりじりと狭くなってきた駐車場を少し拡張しよう。
手を休めて見上げると、冬の空でもこんなに青いんだ、とちょっとビックリする。
遠くに雪を降らせたそうな雲が居るけれど、今はとても穏やか。
降りたての雪を被った山が、空の青に映えて、いつもより更にキレイだ。
ああ、本当にキレイ。なんて美しいんだろう。
夏の間は生い茂った木々や、わっさりした笹薮で視界が遮られていたが、
雪でなだらかに覆われた土手の輪郭がふんわり柔らかい。
結局は背丈ほど積もっているので視界は夏と大差ないのかもしれないけど、
夏には見えなかった建物が見えたりもする。
あの山の白い筋、木がないけれど沢筋かしら。それとも林道のような道かしら。
雪が完全に融ける前に、入って探検してみたいなぁ。


道路端を雪かきしていると、ご近所さんの車も通りかかる。
乗っている車種がわかる見知ったご近所さんだけでなく、
直接顔を合わせたことのない方々の顔も、近くだと確認できる。
車が通りかかる時 雪かきの手を止めて会釈すると、
車窓の方々もニコニコして会釈してくれている。
ああ、笑って挨拶してくれるって、しみじみ嬉しいなぁ。
発足は、風景も人も、穏やかで美しい。


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冬の星 [厚田の風景]

ダーリンは今日からニシンの網外しのお手伝いに行く。
今が一番寒い時期ではあるが、春はもうすぐなのだ。

夜中にトイレで目覚める。
ダーリンが出る前に雪かきは必要かしら、と寒い廊下の窓から外の様子を見てみる。
下弦の月が出ている。キーンと冷たく美しい。
寒い空気に瞬きながら、バラバラと落ちてきそうなほど大きな星が一面に出ている。
うわぁ~。冬の星って、光が鋭くてキレイ。
時折、霧のようにふわ~っと薄い雲が覆い、光が淡くなったかと思えば
またキーンと冷たい光を放って瞬く。
考えてみれば、雪の心配ばかりして、たまに訪れる晴れた夜空を見ていなかったかも。
寒さを忘れて、しばらく呆然と見ていた。

寝ている間もこんな風に、月や星が昇り、動いてゆく。
眼には見えなくとも、星を瞬かせるほど上空の風や水は動いている。
このカラダだって、眠って意識が飛んでいる間も心臓が動き、
血液がまわって、淡々と動いている。
なんだか凄いことが、毎日淡々と起こっているんだなぁ。
あーだこーだと考えている意識の部分なんて、小っせぇ、小っせぇ。

ここに来てから、風景にたくさんたくさん、
話しかけられて、教えられているような感じがするなぁ。


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真冬の中に見つける春の兆し [厚田の風景]

真っ白な朝。
雪が降っているのかと思ったが、濃い霧だ。
すぐ目の前の道路や田んぼが、紗をかけたようにふんわり霞んでいる。
真っ白な雪原が霞むと、距離感がわからないなぁ。
土手の木の濃いシルエットの向こうは、谷には深く、山には淡く、霧がかかっている。
昇ってきたお日様は、霧のフィルターがかかって、朧月みたい。
墨絵みたいだ。美しい。
気温的には真冬だが、本当に立春を過ぎたあたりから、
お日様の勢いがぐんぐん上がっている感じがする。
そうか~。視界が悪くなるのは雪ばかりだった頃に比べると、
こんな風景が見られるようになったってことは、春の兆しなんだなぁ。

お日様が高くなるにつれて霞んでいた風景はどんどんクリアになる。
見慣れた雪景色ながら、気持ちのよい快晴に。
どれどれ、今日は駐車場の幅を拡げるために、
背丈を超えて積み上がった雪を少しずつ崩すことにしよう。
雪かきショベルの幅にザクッ、と挿しこみ、残りの三方にも筋をつけると、
パコッ、とブロック状に取れる。これを一番日当たりのいい道路際に移動する。
そうやって少しずつアスファルト面に向けて下へ、下へと掘り進める。
一時間くらい作業しても、自分の手を広げた分すら崩せていないが、
こうして陽が当たる面を増やしていくことで、少しでも早く雪解けを迎えたい。
今はまだ、庭の雪も窓の高さまであるけれど、
ウッドペッカーの木の周りには色々な植物が植えられていたのだ。
去年、下見に来た5月頃は確か、
わさわさジャングル状に生い茂る雑草の中に、何色ものツツジが咲いていた筈だ。
反対側の庭にも、大きく育ったオンコの木に隠れながら、
桜も咲いていた筈だ。
はじめての厚田の春はどんなだろうか。雪を崩す手にも力が入る。


きりがないのは判っているので、気が済むまで雪崩しをして適当な所でおうちに入る。
作業で汗だくだぁ、と思っていたが、
お日様の力で駐車場には所々アスファルト面が顔を出していた。
暑いのも当たり前かぁ。

コーヒーを飲みながら、ぼんやり、明るい庭の雪を見ていた。
あんなに真っ白でふんわりしていた発足の雪景色も、
良く見ればお日様にじんわり融かされて、表面が雪平鍋みたいに ぽこぽこし始めている。
まだまだ寒いけれど、
春は着実に、近づいてきてくれているんだね。


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ダイヤモンドダストのように [厚田の風景]

日の出の時は薄曇りだった。
9時を過ぎた頃からパラパラと雪が降り出す。
かき氷を削った時、周りに飛び散っているような、細かい、細かい雪。
時折雲を割って陽光が射す。
陽を受けて、細かい雪がキラキラ光りながら降って来る。
うわぁ。まるでダイヤモンドダストみたい。
舞台で金粉を降らせているかのように、キラキラ舞っている。
しかも、陽が射している部分のみ明るいので、
スポットライトを当てた部分だけがキラキラしている、みたいだ。
これが夏だったら、天気雨的な感じなのかなぁ。不思議、不思議。
まだ陽が低いので、急斜角で当たる光は雪面もキラキラ光らせている。
融けては凍る、荒い雪の粒に当たっているのだろう、
ポツン、ポツン、と いい角度で光が当たっている粒だけが、
そこに宝石を散らせたみたいに、もの凄く輝いていた。
眼を細めて見ると、光のひとつひとつがプリズムになって、めくるめく光景に。
きゃ~。とんでもなく素敵な光景を見ちゃってるよ、私。

目の前で繰り広げられる光景を見ながら、
心の中は色々なものに憑依したように疑似体験していく。
降り注ぐ光になって、空から凄いスピードで地上のあらゆるものに反射していく私。
雲の形が変わると、パッと消えて、別の切れ間に瞬間移動してまた降り注ぐ。
雲からは、細かい雪の粒になって風のゆらぎに煽られながら地面へと落下していく私。
くるくる螺旋を描きながら、その度に光が当たる面が変わって光りながら落ちてゆく。
一見丸いけれど、実はごつごつと多角形に固まって雪原を埋め尽くしている氷の粒の私。
その一面だけに光が反射すると、粒全体が乱反射して全体が光る。
そしてまた、光や風を受けることで周りから融けてまた別の私に変化していく。

ああ~、面白い。
ぼ~っと見ているだけなのに、あらゆる所に「私」が居て、
それが一瞬一瞬で変化していくのを想像するのは、
壮大な映画を見るよりも大冒険している気分だ。

こうして何も仕事をしないまま、時間が過ぎていく朝。
呑気すぎるかなぁ。


タグ:厚田 日の出
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ゆきつ戻りつ春は近づく [厚田の風景]

タヌキ箱罠騒動の3/4に20cmほどの雪が降ってからは、
ちらちら程度しか降っていない。
さらっと積もっても、すぐ融けるようになった。
そういえば、日付をメモし忘れたが、2月下旬に、一度雨が降ったこともあった。
気付けば、私の背丈を超えていた雪の壁が、肩口まで嵩が減っている。
例年3/10前後で雪は打ち止めになるらしいので、もう大雪はないのでは、と淡い期待。

今の私の日課は、駐車場をまだ三分の一も占拠している雪の壁を少しずつ崩すことだ。
もうブロックに切り取って日なたに移動する方法はしない。
雪がシャーベット状のザクザクで、ブロックに切り取れる部分が減ってきたのだ。
駐車場のアスファルト面が徐々に広がってきたので、
塩田よろしく、スコップを振り回して
崩した雪を広く薄くアスファルト面に撒き散らすのだ。
ここだ、と思った所にキレイに撒けると、内心、鼻高々だ。
よし、次はここだ! う~ん、うまい!
次はこっちだ! ナイスコントロール!
と、ひとりで自画自賛しながら駐車場を雪で覆いつくして、本日の雪崩しは終了だ。
うんうん、だいぶん駐車場が広くなってきたぞ。
残すところ、サンルームのガラス戸1枚分の幅だ。あと二日くらいで目標達成か。
ダーリンは「春が来たら勝手に融けるって」というけど、
なんかこう、春待ちの焦れた気持ちを、ぶつけたいんだよぉ。

夕方、大きな ぼたん雪がふわふわ降り出した。
ぼたん雪って冬の初めと終わりの、気温が高めの時に降るよなぁ。
ほぼ風の無い中、大きなぼたん雪が、その名の通り
花びらのようにひらひら、ふわふわと舞い降りてくるのは本当にキレイだなぁ。
着地すると、すぅ~っと消えてなくなってしまう儚さも、またオツなモンだ。
こうして、降っては消えてを繰り返して、ゆきつ戻りつしながら
グラデーションのように冬から春へ色が変わってゆくのだろう。
着実に、季節は春へと向かっている。


毎日少しずつ雪崩しをして、目標を達成した3/18。
翌朝、起きると一面の雪景色だった。
もう雪かきするほどの積雪ではない。きっとこのままでもすぐ融けてしまうのだろう。
融けて煤けて もう真っ白ではなくなってきた風景を、優しく浄めてくれているみたい。
春は待ち遠しいが、この雪景色が無くなってしまうのも名残り惜しい。


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初めて敷地全体を探索 [厚田の風景]

雪が締まってきたので、足を踏み入れていなかった敷地探索をすることにした。
おうちと物置は「宅地」だが、裏の原野・山裾の原野・奥の台地状の原野と、
「原野」で登記してある敷地面積はかなり広い。
去年の4月、5月に下見に来た時は、荒涼とした枯れ野に
切られて放置された丸太、無数の枝、ひたすら覆う笹とイタドリの藪が広がっていた。
解け残った雪の下は水がどこにも流れずにズブズブした谷地系の土地。
裾野原野は水の流れる音がするが、深い藪に阻まれて
全く入って行くことができなかった。
雪が藪を押さえつけている今なら、雪の上を歩けるので全容をつかむチャンス。


二人で熊鈴を響かせながら、裏原野を歩く。
夏の間に見つけた原野内の側溝が、今ならどこまで続いているのかがわかる。
裾野と原野の境の崖も、積雪のおかげで簡単に登ることができた。
敷地をとりまく用水路の道に出ると、
スノーモービルの走行跡が残っていて、その上を歩くと埋まりにくい。
一歩も踏み入ることができなかった、山裾の原野の全貌がこの道からは良く見える。
裾野の中心に大きなエゾマツ?の木があるが、
この木を囲むように 二筋の沢があることがわかった。
今はまだ1m超えの積雪があるので渡ることができるが、
水量も多くない小さい沢の割には、谷が深く削れている。
夏は橋を架けないと渡れないだろうな。


もう1本の沢を越えて、台地になった原野に渡ると、
藪に隠れていた台地の様子があらわになっていた。
奥には中途半端な高さで伐採されている林がある。
ダーリンが山のプロさんに「間伐は雪解け前の春にする」と聞いていた。
なるほど、今のような時期に切ると、雪の分だけ嵩上げされるので
中途半端な高さで伐採されることになるのか。
この太さの木なら高さもあっただろう。伐採される前は結構な林だったかもしれない。
木の周りは丸く雪が融けており、覗いて見ると地面までは1mくらいの深さがある。
畑にするため開墾するには、まずは雪が融けてくれなきゃねぇ。

所々でズボッと足が埋まりながらも、たのしい探索タイムだった。
今年の春は早めに草刈りに励まないと、またジャングルみたいになるなぁ。
人が入れる道を作って、小枝や落ち葉を堆肥化させる場所も作りたい。
刈った笹や萱を有効利用する方法も実践したい。
こうして全容が把握できて見ると、
原野の中に森・藪・湿地・沢と多様で豊かな世界が広がっていた。
移住前は「おうちの傍に森や川があったらいいなぁ」と夢想していたが、
自分の望み以上の、想像を超える世界に来ちゃったんだなぁ。



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