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猛吹雪の石狩湾 [厚田の風景]

キーンと冷えた朝。
ダーリンが網外しのお手伝いに行く前に、バス停まで送ってもらう。
道の駅あいろーど厚田は札幌行きの路線バスの始発点だ。
駐車場は日中に融けた雪が凍って、踏むとバリバリ、ガリガリと音を立てる。
「厚田に着く時間が決まったらメールするから迎えに来てね~」と別れる。
始発からは私一人、厚田市街地の二つのバス停からはそれぞれ2人ずつ乗車して、
スカスカの車内は暖房が入っていても うすら寒い。

もう陽が出ているはずだが、すぐ東側が山なのでまだ薄暗さが残り、
アスファルト面が出ている道路も、風に煽られた雪がサァーッと渡っていくのが寒々しい。
西側に石狩湾を臨みながら進んでゆくが、夏の緑がかった色ではなく、鉛色の海。
白い波頭が沖までひょこひょこと見え隠れするので、時化ているのだろう。
石狩市街に近づくにつれて、通勤・通学の人がどんどん乗り込んできて、
車内も混んでいき、窓ガラスが曇って外が見えない。
石狩川を渡ると天気がガラッと変わるのはいつものことながら、
札幌に近づくにつれて雪が降ってきた。


今日はスケジュールは
・病院に病衣の返却と、併設の歯科の支払い
・施設の部屋の明け渡し
・複数の銀行口座の残高を、引き落とし専用口座に一本化
・区役所での各種手続き、
・父の携帯電話の解約、おうちWi-Fiの機器についてショップで相談
など細かな用事が目白押し。
車があるよりも地下鉄で機動的に動く方が便利だったので、好都合だ。
ただ、札幌は湿った雪がずっと降っているので、屋外の移動のたびに
ベチャベチャに濡れるのが不快で、濡れると冷えるのがちょっと大変。
ただ、札幌は厚田に比べて2℃くらい気温が高い感じでかなり暖かかった。

無事用事を終えて父の面会に行く。
弱々しいながらも、これする?あれする?と聞くと手で○や×を示してくれる。
もう声を出すことはできないものの、意思疎通ができるのは嬉しい。
喉が渇くというので看護師さんに相談すると、ガーゼに水を含ませて吸わせてくれた。
ひとりでは寝返りも打てない身体なのに、
必死に看護師さんの腕にすがりついて赤子のように水分を吸う横顔。
その渇望が胸に迫ってなんだか改めてショックを受ける。
2時間ほど父の傍にいた後、「明日お姉ちゃんが札幌に着くよ」と言い残して帰る。


17時になる前になんとかバスに乗り込む。結構混んでいたが、
石狩市街までで大半の人が降車していった。
札幌から出ても雪が止まないどころか、海岸が近くなると更に強く吹雪くようになった。
石狩川河口付近の八幡あたりが猛吹雪のピークだった。
強い風に煽られて、バスが横揺れする。真っ暗な窓の外は、雹のような荒い粒の雪が
進行方向と並行に真横に線を描く。雷も光った。
視界も悪い中、バスの運転手さんは淡々と先に進んでゆく。
怖くないのかなぁ、と思いつつ、照明で明るい車内は
それだけで少し恐怖心が薄らぐんだなぁと乗用車との違いを感じていた。

集落ごとにひとりずつ降車していき、終点に着いた時は私一人だけの貸切状態だった。
「暴風雪警報が出ているよ」と心配してメールをくれていたダーリンが
暗い駐車場で待ってくれていた。
やっと帰って来れた。こんな嵐だけど、厚田に帰ってくるとほっとする。
頻繁に往復していても、もう札幌はホームタウンではなくなったんだなぁ。


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