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つがいのタヌキ [厚田の野生生物]

4/18。
日々お陽さまの勢いが強くなり、暖房を消す時間が長くなってきた。
あれだけ積み上がって「いつになったら融けるんだろう」と思っていた雪も、
みるみる面積が小さくなっていく。
融雪剤にと撒いたもみ殻燻炭の場所はもちろんのこと、
周囲もガンガン融けだして、いま裏原野も、山裾も、畑候補の台地も、
土が露出している面積の方が圧倒的に多くなった。
いずれここ一帯を覆うだろう笹薮も、重い雪から解放されてむっくり起き上がってきている。
日ごとに、というより朝夕で風景がガンガン変わっていく。
発足の春は、駆け足どころか全速力で疾走中だ。
日の出・日の入りの時間を確認したら、4:44と18:24だった。
山に囲まれた発足では、どちらも30分ほどずれるんだけどね。

ゴミを出した後だから、9時過ぎくらいだったろうか。
ダーリンとコーヒー飲みながらまったり過ごしていたら、視界に何かがよぎった。
見ると、タヌキがおうちの前の道路をトコトコ歩いている。
「ダーリン、タヌキだよっ!」と声をかける。
少し距離を置いて、もう一匹も歩いてきた。
2匹とも、道路から方向を変え、おうちに向かってきた。
駐車しているステーションワゴン君の横を通って、庭のウッドペッカーの木の下へ。
うわ~、近い。息を殺してそっと見守る。
黒っぽい方が雄、少し茶色っぽい方が雌なんじゃないかと思う。
雌は道路沿いの側溝脇を、雄は庭の中を縦横無尽に、
くんくんと臭いを確かめながら歩き回る。
まだ冬毛で もこもこしている。肩幅があるせいか、ひねりの入った歩き方。
真後ろから見ると丸い毛玉がもそもそ蠢いているみたいで、なんとも愛嬌がある。
庭から奥の原野へ向かっている様子で、視界から消えてしまった。
急いで2階へ移動し、庭を見渡せる窓からタヌキの姿を追う。

農業ハウスの周囲をウロウロした後、角にちょこんと座った。
庭を渡らずに側溝脇を歩いていた雌も遠回りして合流し、
2匹で丸くなって背中を合わせて寝転んだり、毛繕いをし合ったりしている。
仲良しだなぁ。いつもこうやって睦みあっているのかなぁ。
建物の陰なので道路を行きかう車にも怯えることなく、のんびりと休憩している。
こんな昼間に、里に下りてきて まったりしているなんて。
発足って、本当に豊かなところだなぁ。

早々に観察をやめて階下へ下りて行ったダーリンが、
「ちょっと用事足してくる」と出かけて行った。
一緒に階下に下りて、キッチンから裏原野を見ると、タヌキ達も裏原野に移動していた。
雌は裏原野でも農業ハウス脇を注意深くゆっくり移動し、
ウロウロ動き回る雄が、時々雌の所に戻って来ては、またウロウロと離れていく。
くんくん、もそもそと、ゆっくり原野を歩き回り、
最後は2匹で裏山に消えて行った。

あ~、楽しかった。
もしかして、あの雄は、物置で箱罠にかかった子だろうか。
だとしたら、怖い思いをさせてゴメンネ。
ダーリンは、「最後の晩餐ソーセージを食べた子が、カノジョを見せに来た」と
思ったらしい。
だ、だとしたら、カノジョに「ここん家はニシンやソーセージをくれるよ」と
紹介しているのか? か、軽い餌付けをしちゃったのか?
それはそれで、困るけど。

何はともあれ、もう危害は加えないから、また遊びにおいで。
私は愛嬌たっぷりの君たちに、ぞっこんだよ。


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ダーリンのやりたいこと [厚田民としての生活]

漁師食堂の準備が始まった。
今日から掃除・今季のメニュー準備など、GW営業開始に向けてダーリンは動き始めた。
札幌でのツテを利用して、業務用食品の仕入れや
厚田で獲れない魚を卸売市場で仕入れるなど、昨年できなかったことに着手している。

肥料袋いっぱいのお土産でわかる通り、
出荷できない量ではあっても色々な種類の魚が網にかかるので、
それを生かしておいしいものを食べて欲しいのだそう。
たしかに、魚が大好きという訳では無い私でも、
ダーリンが作ってくれる漬け丼や、タタキ、なめろうなどは大好物だ。
白身ばかりの4種盛のお刺身も、見た目は地味だが
それぞれ歯ごたえや味わいが違って、食べていて楽しい。
こんな美味しいものは、私だけでなく、皆に味わってほしいと切に願う。
これからの季節、地元の野菜も出回るようになれば、
100%厚田産の、純正厚田メシを味わってもらえるようになるのだから、
想像するだにワクワク楽しい。


厚田に移住する前は、おうちのキッチンが意外に広かったので、
ここで地元素材のおうちカフェみたいなことができたらなぁ、と夢想していた。
でも、水廻りのトラブル、虫やネズミの問題もあって、
大々的な改装をしない限り、素人DIYでできるレベルではないと思い知った。
自宅での開業はいったん頭から外して、じゃあ、何ができるだろう。

私達は厚田産の食材にとても魅力を感じている。
昨年の秋、敷地内でボリボリというキノコが群生していて、
キノコや山菜が本当に身近で採れることもわかっている。
地元では直接の販売に繋がらない、と思われている素材もたくさんある。
まだその価値に気付かれていない素材を、生かしてみたい。
このさまざまな厚田の豊かさを、札幌で良い素材を求めている料理人に繋ぎたい。
そんな夢を、ダーリンは抱き始めている。

とても、とても、素敵なことだと思う。
私にも何かできることはあるだろうか。


私の夢は、おうちの周りで作ってみたい野菜を栽培して、
周りに自然に生えてきている山菜やキノコや木の実を ほんの少し分けてもらって、
その季節にしかない味を、しっかりじっくり堪能しながら暮らすこと。
そのために、この土地がどうありたいのかを
草や木や虫や動物の動きから感じ取れるようになること。
この土地の一部となって、邪魔をせず、少しでも助けになれるように一緒に暮らすこと。

ダーリンのやりたいことと、うまくリンクしながら
少しずつ、少しずつ、カタチにできて行けばいいなぁ、と思うのだ。
春は、ココロの中も、カラダの中も、何かが芽生えていく季節なんだね。


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