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「あいつ」来襲 [移住生活のはじまり]

冷蔵庫はキッチンの流し台と並んで設置することが多いだろう。
でも今、おうちではキッチンとリビングの間の真ん中に、ど~んと鎮座している。
流し台に並べて置ける位置にコンセントはあるものの、
流し台はただ並んでいるだけの仮置きなので、あとで動かす必要がある。
もうひとつの理由は、キッチンの裏の『アンタッチャブルゾーン』の対処を何もしておらず、
どうもそこから虫がやってくると思われるのだ。
虫の出入口となる場所に冷蔵庫を設置したくない!

やってくるのは、「あいつ」、便所コウロギの異名を持つ、カマドウマだ。
コウロギのようにジャンプできる脚を持ち、サカサカサカと歩み寄ってくる姿は、
エクソシストの背這いで走ってくるそれに似ており、
人間の様子を窺った上で、なお向かってくる様子はゴキブリを思わせる。
パッと見は黒いが、足に禍々しい縞模様があって、なんとも恐怖をそそるのだ。
(あいつに罪はなく、私が生理的にどうしてもイヤなタイプ。個人の感想です。)
なんたって、便所と名の付くものが食べ物を扱うキッチンに居るのが許せん。

そして、水道だけが工事終了し排水管フリーのこの状況で、
あいつは来襲した。

まずは、パチッと何かが当たる音がする。
あいつがジャンプして、壁やら床やらに当たる音なのだ。
本来、怖がりの私はこういう音にすぐビクつく。
すわ、ラップ音か!と。
でも、このおうちでは、ホラー系の怖さは全く感じない。
だって、この音は、あいつだとわかっているから。

パチッと音がして、恐る恐るその方向を見る。・・・やはり居る!
あいつもこちらの気配を窺っている。
私が逃げようとしたとしても、攻撃に出ようとしたとしても、あいつは向かってくる。
ぎゃ~~~、もうパニックだ。攻撃すると、ジャンプする!
おうちの中に私の悲鳴が響く。
殺したくはないが、恐怖で必要以上に攻撃してしまう。
あいつはあのコウロギのような長い脚が意外に華奢で、攻撃で脚がもげることが多い。
でも、向かってくるのだ。残りの脚を使って。
仕留めた、と思っても動くのだ。
瀕死のあいつに罪はない。
でも怖いのだ! 嫌なのだ! やめて、来ないで~!!

戦い終えて放心する間もなく、またパチッとかパサッとか音がする。
ぎゃ~~~!!
次々と、まるでシューティングゲームのように次々と、
キッチンの裏からワラワラと、5~6匹出てくるではないか!
数年前に使ったままにしていた殺虫スプレーが荷物の中にあった。
気がふれたようにスプレーしまくった。
あいつらはエアーに反応して飛びまくる。
もう阿鼻叫喚の殺戮現場だ。
動かなくなったあいつ、ヒクヒクと虫の息(実際虫なんだけど)のあいつ、
素早く動いて隠れたあいつ・・・。
部屋の中は殺虫剤の香料が濃く漂う。
この夜、来襲は数回続いた。

嫌だ、怖い。
キッチンに立ちたくない。
キッチンから一番遠い場所で、涙目のまま、ダーリンの帰宅を切望する夜だった。


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