救急車に乗る [厚田民生活 二巡目]
血だらけのヤッケさえ脱げば、ズボンの血のシミも さほどひどくなく、
Tシャツも派手に血に染まっている襟元以外はキレイだった。
(逆に言うと、ヤッケを着ていなければ白Tシャツじゃなくなってたかも)
とりあえず、出血している部位をタオルで押さえながら椅子に腰かける。
出血箇所の下あたりに、みるみるうちに大きくなった、たんこぶの感触がある。
ダーリンが急ぎ調べ始めた。
救急病院は石狩市内に無さそうだ、じゃ、札幌の病院かぁ?
土地勘が無くて、どうやって行ったらいいのかもわからないよぉ、と困っている。
救急車を呼ぶか? でも出血はそこそこ凄いが歩けるし、吐き気とかも無いし。
「なんか救急車呼ぶ前に相談するダイヤルがあったと思うけど」と水を向けてみる。
調べて電話を架けると、「え?新さっぽろですか?」などと やりとりしている。
電話が終わって、「どう? 体調は」と聞かれ、
「具合は悪くないけど血が止まらない。なんか頭の色んな所が痛い」と答える。
傷口を確かめようとしてくれたが、
「ダメだ、どこがどうなっているのかよく見えない」と言い、
「もう、救急車を呼ぼう。対応している病院もわかるし、
救急搬送ならすぐ診察してもらえるから」
ああ、そうか。普通に行ってもまだ6時過ぎたばかりで病院なんか開いてないんだ。
そういやぁ、10年前に骨折した時、救急車でなく自力で行ったら
普通に順番通りの診察になり、待ち時間中は痛くて痛くて辛かったっけなぁ。
観念して救急車を呼んでもらい、子猫たちのドライフードだけは器に入れておいた。
10分もかからぬうちに救急車が到着。
「ご家族は車で追いますか、同乗しますか」と問われ、
ダーリンは一瞬躊躇したが、「同乗します」と言い、家に鍵をかけて急ぎ乗り込んできた。
救急車と同様に信号無視して走れる訳でなし、
僕らはスマホじゃないので、救急車とはぐれたら土地勘の無い場所で迷うは必至だ。
そもそも搬送先がどこになるかも今はわからないのだから、選択肢は同乗一択だ。
・・・でも遠い所に搬送されたら、帰り道はどうやって帰ろう。
移動中は血圧・体温・血中酸素濃度を測定しながら、
とりあえず頭の傷にガーゼをあてて布で縛って固定してくれた。
また、頸椎に損傷があるといけないので、
むちうちの時にするような首のコルセットをあててくれた。
首に違和感はなかったものの、コルセットをすると意外に楽だった。
思わず、「頭って重いんですね、コルセットをすると楽だなんてビックリしました」
なんて、どうでもいい話をついしてしまった。
ちょっとした道路の段差で尾骶骨が痛い。振動って、こんなにお尻に響くんだなぁ。
父の救急搬送に同乗した時は気付かなかったが、ストレッチャーに寝ていると
この振動は全身に響いて辛かっただろうなぁ、と改めて思った。
信号にひっかからない救急車とはいえ、札幌の救急病院までは
普通に考えても40~50kmは先だ。40分以上は乗ることになるんだろうなぁ。
「頭を打っているので整形外科よりも脳外科の救急を探します。手稲近辺でもいいですか」
と聞かれる。希望の病院や地域があれば、そこに交渉することもできるらしい。
へぇ~。救急車でもそんなシステムなんだなぁ。
一瞬だったかもしれないけれど、頭を打って気を失ったのだから、脳外科でお願いした。
道すがら、今はどこの地域まで来ましたよ、もう20分位で着きますよ、とか
「どうしよう・・・。道道を血で汚してしまった。通る人がびっくりするよ・・・。」
と呟くと、「大丈夫ですって」と
不安を和らげるような声掛けをしてくれる。
しかも、ダーリンとはお店の消防査察で面識があったようで、
軽く、「あのお店の方ですよね」なんて世間話なんかもしてくれて、
不安を感じることなく救急病院まで搬送していただけて、本当に有難かった。
手稲の救急病院に着くと、ストレッチャーのまま院内に搬送された。
脳や骨に異常がないか、検査の手配をしながら、医師が診察してくれた。
「あ~、傷は2.5cm程度だけど、動脈にかかっているんで出血が多かったねぇ。
痺れは無い? ふらついたり、吐き気がしたり、頭痛がしたりしてない?」
「頭頂部とか腕とか全体的に色々痛いけれど、ぶつけてじ~んとしているだけかもしれないです。特に吐き気とかはありません。」
そっかぁ、切れた箇所のせいでこんなに出血したのかぁ、と判ると、凄くほっとした。
ふと気付けば、処置室に直接入ったので、ダーリンは別室で待機なのか姿が見えない。
病院に引き継いだ時点で撤収したらしく救急隊員の方々も居なかった。
ああ、あんなに迅速で、安心な対応していただいたのに、
お礼の一言も言えず仕舞だったなぁ。
撤収前にちゃんと、ひとりひとりに ありがとうございました、と言いたかったなぁ。
Tシャツも派手に血に染まっている襟元以外はキレイだった。
(逆に言うと、ヤッケを着ていなければ白Tシャツじゃなくなってたかも)
とりあえず、出血している部位をタオルで押さえながら椅子に腰かける。
出血箇所の下あたりに、みるみるうちに大きくなった、たんこぶの感触がある。
ダーリンが急ぎ調べ始めた。
救急病院は石狩市内に無さそうだ、じゃ、札幌の病院かぁ?
土地勘が無くて、どうやって行ったらいいのかもわからないよぉ、と困っている。
救急車を呼ぶか? でも出血はそこそこ凄いが歩けるし、吐き気とかも無いし。
「なんか救急車呼ぶ前に相談するダイヤルがあったと思うけど」と水を向けてみる。
調べて電話を架けると、「え?新さっぽろですか?」などと やりとりしている。
電話が終わって、「どう? 体調は」と聞かれ、
「具合は悪くないけど血が止まらない。なんか頭の色んな所が痛い」と答える。
傷口を確かめようとしてくれたが、
「ダメだ、どこがどうなっているのかよく見えない」と言い、
「もう、救急車を呼ぼう。対応している病院もわかるし、
救急搬送ならすぐ診察してもらえるから」
ああ、そうか。普通に行ってもまだ6時過ぎたばかりで病院なんか開いてないんだ。
そういやぁ、10年前に骨折した時、救急車でなく自力で行ったら
普通に順番通りの診察になり、待ち時間中は痛くて痛くて辛かったっけなぁ。
観念して救急車を呼んでもらい、子猫たちのドライフードだけは器に入れておいた。
10分もかからぬうちに救急車が到着。
「ご家族は車で追いますか、同乗しますか」と問われ、
ダーリンは一瞬躊躇したが、「同乗します」と言い、家に鍵をかけて急ぎ乗り込んできた。
救急車と同様に信号無視して走れる訳でなし、
僕らはスマホじゃないので、救急車とはぐれたら土地勘の無い場所で迷うは必至だ。
そもそも搬送先がどこになるかも今はわからないのだから、選択肢は同乗一択だ。
・・・でも遠い所に搬送されたら、帰り道はどうやって帰ろう。
移動中は血圧・体温・血中酸素濃度を測定しながら、
とりあえず頭の傷にガーゼをあてて布で縛って固定してくれた。
また、頸椎に損傷があるといけないので、
むちうちの時にするような首のコルセットをあててくれた。
首に違和感はなかったものの、コルセットをすると意外に楽だった。
思わず、「頭って重いんですね、コルセットをすると楽だなんてビックリしました」
なんて、どうでもいい話をついしてしまった。
ちょっとした道路の段差で尾骶骨が痛い。振動って、こんなにお尻に響くんだなぁ。
父の救急搬送に同乗した時は気付かなかったが、ストレッチャーに寝ていると
この振動は全身に響いて辛かっただろうなぁ、と改めて思った。
信号にひっかからない救急車とはいえ、札幌の救急病院までは
普通に考えても40~50kmは先だ。40分以上は乗ることになるんだろうなぁ。
「頭を打っているので整形外科よりも脳外科の救急を探します。手稲近辺でもいいですか」
と聞かれる。希望の病院や地域があれば、そこに交渉することもできるらしい。
へぇ~。救急車でもそんなシステムなんだなぁ。
一瞬だったかもしれないけれど、頭を打って気を失ったのだから、脳外科でお願いした。
道すがら、今はどこの地域まで来ましたよ、もう20分位で着きますよ、とか
「どうしよう・・・。道道を血で汚してしまった。通る人がびっくりするよ・・・。」
と呟くと、「大丈夫ですって」と
不安を和らげるような声掛けをしてくれる。
しかも、ダーリンとはお店の消防査察で面識があったようで、
軽く、「あのお店の方ですよね」なんて世間話なんかもしてくれて、
不安を感じることなく救急病院まで搬送していただけて、本当に有難かった。
手稲の救急病院に着くと、ストレッチャーのまま院内に搬送された。
脳や骨に異常がないか、検査の手配をしながら、医師が診察してくれた。
「あ~、傷は2.5cm程度だけど、動脈にかかっているんで出血が多かったねぇ。
痺れは無い? ふらついたり、吐き気がしたり、頭痛がしたりしてない?」
「頭頂部とか腕とか全体的に色々痛いけれど、ぶつけてじ~んとしているだけかもしれないです。特に吐き気とかはありません。」
そっかぁ、切れた箇所のせいでこんなに出血したのかぁ、と判ると、凄くほっとした。
ふと気付けば、処置室に直接入ったので、ダーリンは別室で待機なのか姿が見えない。
病院に引き継いだ時点で撤収したらしく救急隊員の方々も居なかった。
ああ、あんなに迅速で、安心な対応していただいたのに、
お礼の一言も言えず仕舞だったなぁ。
撤収前にちゃんと、ひとりひとりに ありがとうございました、と言いたかったなぁ。