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猫と暮らすということ [猫のいる生活]

日を追うごとに、僕らの子猫に対しての態度が甘々になっていく。
最初は「ねぇね」と呼んでいたのに、
「ねぇねちゃん」→「ねねちゃ~ん」→「ねねちゅわ~ん」と変化。
猫なで声を出しているのは、猫ではなく僕らの方だ。
顔を見て呼びかける時以外は、ちょっと冷静に「ねねクロ」と一括りに呼ぶ。
(ももクロみたいだね)

ダーリンが、「BERA~! ねねクロが~。こんなことしてる~」とサンルームで叫ぶ。
懸案の「サンルームの温室に囲いをつける」ために立てかけていたプラ段。
テーブルに飛び乗り、その垂直に立てているプラ段を踏切板にして、
二段跳びでカーテンレールの上に登って、不安定にへこへこと歩いていた。
すごいなぁ~、この身体能力。
70cmの高さは爪が立てられないツルツルの素材でも、
後ろ足までシュタッと着地できるジャンプ力はついてしまった。
だからもう、食卓テーブルも台所も当たり前に登ってくる。
それどころか、助走すれば
こんな垂直の面まで使って180cmの高さも登れちゃうんだなぁ。
恐るべし、小さななりした野獣。
プラ段を踏切板にしちゃうなら、囲いをつけても意味ないかもしれないなぁ。
かえってカーテンレールに頻繁に登っちゃうようになるかもね。


そんなことがあって、ダーリンは仮眠をとりに2階へ上がり、
ねねクロも落ち着いて眠り始めたと思ったころ、
にわかにクロちゃんの挙動がおかしくなった。
ごはんや「ここ開けて」などの要求と、虫を見つけた時くらいしか鳴かないのだが、
何度も連続して鳴き出した。
トイレに出たり入ったりしながら、いつもと違う鳴き方で何かを訴えている。
以前、段ボールとか輪ゴムとか、拾い喰いした異物の排泄時にもこんな声で鳴いていた。
でもその時よりも切羽詰まった感じで鳴き続ける。
トイレの中でうずくまって鳴きながら、出てこなくなった。
わぁ、どうしよう、どうしよう。

サンルームの騒ぎの時に私はチョコビスケットを食べながらお茶していた。
それを中途で放り出して大騒ぎをした後、ふとダーリンが
「なんでこれここに落ちてるの?」と食べかけのチョコビスケットを拾い上げた。
血の気が引いた。
チョコの部分に爪の痕があった。
猫にとっての毒物、チョコレートを口にしてしまったかもしれない!
今クロちゃんが苦しんでいるのはそのせい?
申し訳なさでいっぱいになった。私のせいかも!私のせいかも!

オロオロしながら見守るうちに、クロちゃんが吐いた。
いったん吐いてトイレから出てきたが、ほどなくしてまた同じことを繰り返し、
その度に、吐きたいのか排泄したいのかわからないようで、トイレにうずくまり、
結局3回、吐いた。
最後に吐いた時、固形物を吐き出した。軟骨がくっついた魚の皮のようなものだった。
子猫にとっては けっこう大きな塊りを、噛まずに丸呑みしたのだろう。
しまった。ほぐし方が甘かった。
一時間ほど元気なく丸くなっていたが、
ねぇねにつられて水を飲んだり、キャットフードを食べるようになったので
ほっと胸を撫で下ろしたが、普段通りの元気を取り戻すまで丸一日かかった。


大事には至らなかったが、猫にとっての毒物の管理の甘さ、
手づくりウェットフードの与え方の雑さに、反省点がいっぱいだ。
あの、「具合悪いよぉ~」「気持ち悪いよぉ~」と訴えていた鳴き声は忘れられない。

猫と暮らすということは、もっと猫の目線で考えていかないと危険がいっぱいなのだ。
祭壇に飾る花を作っている時は、刃物に手を出さぬように気をつけるだけでなく、
輪ゴムや切った茎を盗まれないようにしなければ。
そもそも、猫にとって毒物とされる花を選ばないようにしなければ。
調理だって、ネギ科・ナス科・ユリ科に香辛料、生肉や生魚と注意すべき食材がいっぱい。
子猫たちは、「何? 新しいモノ? 確認、確認」「美味しいの? 味見、味見」
「何を動かしてるの? 遊ぶ、遊ぶ」と
ただただ好奇心で寄ってきちゃうイキモノなのだ。
彼らが健やかに暮らせるように、もっと、ていねいに、ていねいに。
猫がしたいことの先読みをして注意しなければ。

もっと気をつけるよ。どうか、元気で長生きしておくれ。
私達も、必ずや、君たちより長生きするよ。一緒に楽しく年をとろうね。


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